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熱中症が発生する仕組みと症状及びその予防・対策と応急措置

【熱中症とは】

熱中症とは、体温が上がり体内の水分や塩分のバランスが崩れたり体温の調節機能が働かなくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気の総称をいいます。重度になると最悪死亡につながりかねない怖い症状です。年間6~8万人が救急搬送されており、その中でも高齢者は40~60%の割合と多い傾向にあります。今後、高齢者の割合が増えていくため、高齢者の熱中症対策は大きな課題となっています。

 

【熱中症の仕組みと症状】

人は運動や仕事などで身体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。体温が上がった時は、汗をかくこと(気化熱)や、体の表面から空気中に熱を逃がすこと(熱放散)によって、体温を調節しています。平常時は、こうした体温を調節する機能が上手に行われるため、人の体温は36℃から37℃くらいに保たれています。

 

しかし、気温や湿度が高い環境で激しい運動を行うと、体内で作られた熱をうまく外に逃がすことができなくなります。さらに、そのような環境の下でいつも以上に運動や活動を続けると身体がどんどん熱くなり、汗をかいて身体の水分や塩分が減っていきます。そうすると、体内の血液の流れが悪くなり、身体の表面から空気中に熱を逃がすことができなくなり、汗もかけなくなります。

 

熱中症の女性のイラスト

 

このように、体温の調節がうまくできなくなると体の中に熱がたまって体温が上昇します。脳を含む重要な臓器は、37℃以下で一番うまく働き、体温が高くなると機能しにくくなります。人間は喉の渇きに任せて飲水しても、水やナトリウムの平衡を完全に回復できずに軽い脱水状態に陥り、自発的脱水と呼ばれる状態になります。このような時に、水分だけを大量に補給すると血液中のナトリウム濃度の低下(低ナトリウム血症)が生じて、これが原因となり手足等の筋肉が痙攣を生じます。筋肉のこむらがえりと呼ぶほうが理解されやすいことがあります。

 

次に、体表面への血流が増加し、血圧が低下して脳の血流が減少すると、めまい、失神、疲労感、頭痛、嘔吐を生じます。そして、脱水も伴ってくると全身のだるさ(倦怠感)、筋力低下、食欲低下を生じます。それでも、これらの病態にとどまる間は、体温はほぼ正常に維持されています。やがて体温の維持が難しくなり、脳内の温度も上昇してくると、暑さの感覚が麻痺します。そして、避暑行動を取ることもできなくなり、皮膚の血管拡張や発汗等の生理的な反応も止まります。こうなると核心温は一気に40℃以上に達し、昏睡、けいれん、ショック、溶血、腎不全による乏尿、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多くの臓器不全等を生じて、緊急に治療をしなければ致命的な状態に陥ります。この症状が主に熱中発症のメカニズムとなっています。以下の図は熱中症分類と言われるものなので参考にしてみてください。

 

熱中症の症状と分類の図

 

熱中症発症メカニズムの図

 

【熱中症の予防と対策】

実は家の中でじっとしていても室温や湿度の高さから熱中症にかかることもあり、救急要請時の発生場所では、住宅等居住施設が全体の37%を占めていて最も多く、次いで車や電車などの交通施設が25%を占めています。室内型熱中症が全体の62%を占めており、現在注目されています。エアコンつけているから大丈夫と思っていても、湿度が高ければ意味を無くします。実は25度の室温でも80%以上の湿度だった場合は熱中症のリスクが高まると言われています。また、着ている服装にも関係があり、熱を吸収しやすい服(青・黒系)や厚着をしている方々も注意が必要です。

 

発症年齢では高齢者が多いように感じますが、小児・幼児者も注意が必要です。気象情報が発表されていますが、一般的な気温は平均身長で出されている気温であり、子供はさらに2-3℃ほど高い環境下であると言われています。また、運動に慣れていない方や肥満の方、寝不足や疲れなどで体調が悪い方、二日酔いや下痢などで体内の水分が減っている状態の方々も注意が必要です。肥満の人がなぜ熱中症リスクが高いかというと、皮下脂肪が多いほど体内の熱が外に逃れにくくなるためといわれています。

 

以上のように、些細なことでリスクが高まることがわかっていただけたかと思います。そのため、正しい対策をしていき、自らの身をも守ることが必要です。以下の項目を参考にしてみてください。

 

①エアコンをつける

エアコンは24-26℃で出来るだけ、ファンを回すようにしましょう。風があることで湿度を下げる効果があります。

 

②運動で筋肉をつける

ウォーキングや筋力訓練などで筋肉がつくと、体に多くの水分がためられ、脱水状態になりにくくなります。体の水分量は成人男性では体重の60%が水分で、その4割は筋肉などの細胞にためられているからです。高齢になると、体内の水分量が体重の50~55%ほどになり、徐々に少なくなります。また、高齢者は体温調節の働きが悪いことが多いので、脱水状態にならないためにも筋肉量を減らさないようにする維持する事が必要です

 

③水分と塩分-糖分の摂取

 

④十分な食事と睡眠

 

⑤涼しい服装を

理想は、外からの熱の吸収を抑え、体内の熱をスムーズに逃がす服装です。素材は、吸収性や通気性の高い綿や麻などが良いでしょう。また、熱がこもらないよう、襟ぐりや袖口があいたデザインもおすすめです。ちなみに、インナーを着たほうが、肌とインナー、インナーとアウターの間に空気の層ができ、外からの熱気を遮断してくれます。

 

※豆知識

熱中症予防にはカリウム、ビタミンB1、クエン酸を効果的に摂ると回復力も高まります。ちなみに、麺つゆに使われている醤油には塩分(ナトリウム)、出汁には昆布や鰹節などから抽出されたカリウムやミネラルなどがい豊富に含まれています。ビタミンB1やカリウムが豊富な「納豆とオクラのネバネバそうめん」や「冷やし豚しゃぶそうめん」など、具材にも一工夫すると最強の夏メニューになります。

 

【熱中症の応急処置】

万が一、身近な方が熱中症になった場合、以下の処置を参考にしてみてください。

 

①涼しい環境に移動する

風通しの良い日陰やクーラーが効いている室内にまず移動させ、なるべく直射日光を避けてください。

 

②脱衣と冷却

服を脱がせて体内の熱を外に出します。さらに、露出させた皮膚に水をかけ、うちわや扇風機などで仰いだり、氷嚢で首・わきの下・太ももの付け根などを冷やしたりして体温を下げます。

 

③水分と塩分を補給する

冷たい水、特に塩分も同時に補える経口補水液やスポーツ飲料などを飲ませると良いでしょう。ただし、意識障害がある場合には水分が気道に流れ込む可能性があります。また、吐き気や嘔吐の症状がある場合には、すでに胃腸の動きが鈍っていると考えられるので、口から水分を入れることは避けましょう。

 

【まとめ】

熱中症は誰でもどこでもなりうる症状です。立ちくらみやこむら返りなどの症状があれば、それは初期の段階の可能性もあります。若いから私は大丈夫だと思わず、しっかりと対策をとり、よい夏休みやお盆休みをお迎えください。

 

横山医院 理学療法士 小林 将之

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