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徒手理学療法という言葉になじみのない方も多いかと思いますが、徒手理学療法とはリハビリテーションを行うにあたってどのような組織に問題があるかを評価して、最適な治療方法を選択するためのものです。
また、徒手理学療法の考え方の特徴として「構造的アプロ―チ」という概念があります。現代のリハビリテーションでは、疾患ごとでどのようにリハビリテーションを進めていけばよいかといったガイドラインがありますが、「構造的アプローチ」という概念のもとでは、そのような疾患の概念にとらわれることなくその人の身体の状態を骨、関節、筋・筋膜、神経などから総合的に評価して治療を行っていきます。
もちろん疾患ごとのガイドラインに沿ってリハビリテーションを進めていくのも大切なことですが、必ずしもガイドラインに沿って行えば症状が改善するというわけではありません。各関節内の動きはとても微妙なもので、ミリ単位の動きの制限が関節の動きや筋肉の働きを抑えてしまうことも少なくありません。関節内の滑りや転がりといった微細な動きを評価や治療を行うのに、徒手理学療法は非常に適していると言えます。
徒手理学療法の歴史は古く、徒手療法の始まりとされているのは「ヒポクラテスのベンチ」と呼ばれているもので、ロープで身体を引っ張り背骨の歪みや骨折の整復を目的に使われていたとされています。紀元前400年頃から徒手療法の歴史が始まり、これまでに「マッサージ」「モビライゼーション」「オステオパシー」「カイロプラティック」などの手技が発展して、今日に至っています。
「カイロプラティック」はアメリカでは医療国家資格となっていますが、日本では国家資格としては認められていません。なお、「マッサージ」「モビライゼーション」「オステオパシー」などの技術は今でもリハビリテーションのなかで用いられています。これらの技術は、どの組織に問題があるかで使い分けられます。
徒手理学療法は整形外科の疾患に対して有効な評価方法や治療手技が多く、画像診断だけでは評価しきれない関節内の微細な運動を評価することができます。
整形外科に限らず、リハビリテーションにおいて運動の中心となるのは関節可動域訓練や筋力増強訓練と呼ばれるものです。しかし、それらの訓練を行うにあたりどのような運動をすればその人の問題点を解決できるのか、その道筋を探す手助けをしてくれるのが徒手理学療法です。
リハビリテーションを行う上で大切なことは、まずは画像診断で得られる情報はしっかりと把握して、その後リハビリテーションにおいて関節の微細な動きや運動の中での制限の有無などを判断することです。そうすることで、治療対象となる方の全体像をより正確に把握でき、効率的に治療戦略を立てられるようになります。
リハビリテーションの基本となるのは運動療法ですが、その他にも様々な治療手技と呼ばれるものがあります。それら治療手技と呼ばれるものは何も特別なものではなく、なおかつその治療手技を使えば必ず良くなるといった魔法のようなものでもありません。しかし、徒手理学療法を用いて評価や治療を行う上での選択肢が増えることは、リハビリテーションを行うにあたって非常に有利になります。現在でも臨床の現場でよく用いられる手技として、以下のようなものがあります。
細かく分けると他にも色々な方法があるのですが、大切なことは、関節や筋肉あるいは神経や筋膜など、組織ごとに評価・治療を行う術を持っているということです。当院には経験豊富なリハビリテーションスタッフが多く在籍しておりますので、もしもなかなか改善しない症状をお持ちの方がいらっしゃいましたらぜひ一度当院までご来院いただければと思います。
横山医院 理学療法士 藤平 真二