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肩関節脱臼

【概要】

肩関節は広い可動域をもつ反面、とても不安定な関節でもあります。そのために脱臼してしまうことも多く、肩関節脱臼は全関節脱臼の約半数を占めるとされています。その中でも前方への脱臼が97~98%を占めるという報告もあり、一度肩を脱臼してしまうと反復的に脱臼を繰り返してしまう確率が高くなってしまいます。肩関節の脱臼は、下の写真のような「屈曲・外転・水平外転」という動きを強制されたときに多く発症します。

 

肩 脱臼ポジション

 

もともと肩関節では、上腕骨頭に対して肩甲骨の関節面は1/3~1/4程度しかありません。そのためにもともとの安定性が低く、それを補うために「関節唇」という組織が肩関節の適合性を高めるために重要な働きをしています。ただ、一度脱臼をしてしまうとこの関節唇も同時に損傷してしまう場合も少なくないため、反復性肩関節脱臼へと移行しやすくなります。また、肩関節の安定性を補強するために関節包や靭帯などの働きも重要になってきます。特に靭帯では「下関節上腕靭帯複合体」呼ばれる部分が、肩関節の脱臼を抑えるために重要な働きをしています。

 

【症状】

肩関節脱臼の症状としては、疼痛、可動域制限、筋力低下、不安定感などを生じることがあります。検査では、下方への不安定性を示す「sulcus sign」が陽性になることが多く、反復性肩関節脱臼では前方への不安定性を示すケースが多くみられます。また、初回外傷性前方脱臼ではスポーツ選手以外の予後は良好ですが、若いスポーツ選手などで、特にコンタクトスポーツをされている方では再脱臼のリスクが高くなります。

 

ラグビーのスクラム

 

【治療とリハビリテーション】

肩関節脱臼のリハビリテーションでは、関節唇の損傷や靭帯の緩みなどにより肩関節の不安定性が生じている可能性があるため、肩関節を安定させるための腱板筋の強化がとても大切になってきます。肩甲骨の位置や動きに異常があると肩関節は再脱臼してしまう可能性が高くなるため、もしも肩甲骨に異常があれば位置や動きを改善させる必要があります。また、肩甲骨だけでなく体幹や骨盤帯の安定性も肩関節脱臼に関与してくるため、体幹の筋力トレーニングなども同時に行うことで再脱臼のリスク軽減を図っていきます。

 

反復性脱臼を繰り返している方やスポーツをされていて早期の競技復帰を希望されている方などに対しては、手術療法が選択されることもあります。手術方法には「バンカート法」という関節唇を縫合する方法が行われることが多いですが、コンタクトスポーツを行う選手に対しては制動効果の高い「ブリストウ法」を行うこともあります。また、バンカート法とブリストウ法を同時に行う方法もあります。

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