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ばね指とは、屈筋腱という指を曲げる腱が、腱鞘という滑車の中を動くところで引っかかりが生じてしまうものです。腱の一部に炎症が起きて肥大化したり、腱鞘に炎症が起きて厚くなったりすると、腱と腱鞘の間でスムーズな動きが起こりづらくなってしまいます。
日常的に指をよく使う方に多くみられ、女性に多い傾向があります。また、女性が多い理由の1つにホルモンバランスの崩れが挙げられていて、特に50代前後になると女性ホルモンの分泌バランスが崩れやすくなることから、ばね指になる可能性も高くなります。
さらに、女性は男性に比べて家事動作などで日常生活において指を使う機会が多いことも、女性に発症が多い要因の1つとして挙げられています。他には、テニスやゴルフなど指を多用するスポーツをされる方もばね指の発症リスクが高くなります。
腱と腱鞘の間で引っかかりが生じるので、指を伸ばす時に「カクン」と跳ねるように伸びてしまいます。この現象から、「ばね指」と呼ばれるようになりました。また、腱鞘の部分で腱との摩擦が強くなることから、擦れて痛みを感じることもあります。特に、起床時に指の動かしにくさやこわばりを感じることが多いです。
ばね指の診断は、基本的に超音波検査にて行います。レントゲン検査を行っても骨に異常がみられることはありませんが、他の変性疾患などと鑑別するためにレントゲンを撮影することもあります。
ばね指の治療には、大きく分けると保存療法と手術療法があります。保存療法では、リハビリテーションや薬物療法、装具療法などを行います。リハビリテーションについては後述しますが、薬物療法では鎮痛剤や炎症部位に対してのステロイド注射などを行います。しかし、ステロイド注射は頻繁に行うと腱断裂のリスクを高めてしまうため注意が必要です。装具療法では、安静度を高めるための装具を用いることがあります。しかし、長期に使用していると可動域の低下を引き起こしてしまうリスクがあるため、必要に応じて用いるようにすると良いでしょう。
手術療法では、引っかかりが生じている部位の腱鞘を切開して、引っかかりを解消するための手術を行います。手術療法は保存療法がうまくいかなかった場合に検討されるもので、術後には機能回復のためのリハビリテーションが必要になります。
ばね指のリハビリテーションでは、マッサージやストレッチなど腱の滑走を回復させるための運動を中心に行います。また、ブロック状のものを握る運動をすることで腱鞘を拡げる効果が期待できます。