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テニスは幅広い年齢層の方が行っているスポーツで、私自身も週1回テニススクールに通ってテニスをしています。テニスを好きな方は身体が多少痛くても頑張りすぎてしまう傾向があり、同じテニススクールに通っている方々をみると、腰のコルセットや膝のサポーターをされている方をちらほら見かけます。
テニスに伴う怪我や障害は少なくなく、きちんとした身体の使い方やケアをしていかないと、怪我や障害のためテニスを続けることができなくなってしまうかもしれません。今回は、テニスを行うに伴って生じやすい怪我や障害及びコンディショニングの方法についてお話したいと思います。
テニスで生じる怪我は下肢で生じることが多く、慢性的な痛みに関しては上肢や体幹が多いとの報告があります。テニスをしていて生じる痛みの要因で特に多いものとして、以下のものが挙げられます。
テニス肘は、バックハンドを打つときにかかるストレスが原因で生じます。手関節掌屈・尺屈位でインパクトすることで短橈側手根伸筋という筋肉の伸張ストレスが増大することで生じると考えられています。
このような打ち方になってしまう原因としては、「股関節や体幹の回旋不足」「円滑な重心移動が行えていない」「手打ちになってしまっている」などが理由として挙げられます。
テニスでは、急なストップや方向転換、着地などでバランスを崩して足関節捻挫を生じてしまうことがあります。テニスの動きの中で側方の動きは全体の70%以上とも言われていて、側方でバランスを崩してしまうことで前距腓靭帯や踵腓靭帯といった足関節外側の靱帯を損傷してしまうことが多いと報告されています。
テニスで腰痛になるというイメージはあまりないかもしれませんが、テニスをしている人の8~9割の人が腰痛を経験すると言われています。なぜ腰痛が生じるのかというと、本来は股関節や胸郭を含めて身体全体を回して打つところを、股関節や胸郭の動きが硬いことで腰に負担が集中してしまうことが原因として考えられます。
サーブでは腰に負担がかかりやすいため、腰以外の部分の可動性を十分に確保しておく必要があります。特に、胸椎の伸展・回旋可動域や股関節の伸展・回旋可動域を確保しておくと良いでしょう。
四つ這いでの上下肢挙上、プランク、サイドベンチなどの運動を行い、軸足の安定性向上や肩甲骨と体幹の協調性向上を図っていきます。また、メディシンボールなどを投げて股関節と体幹を連動させて回旋させ、力をうまくラケットからボールに伝えるための練習を行うのも良いでしょう。
テニスは側方移動が主となるスポーツということもあり、片脚での動作における安定性の確保が重要になります。片脚での安定性を向上させるためには、片脚立位、片脚スクワット、片脚での踵挙げ運動などを行うと良いでしょう。
また、実際に動く場面を想定して、外側荷重位からの切り替えしやサイドホップなどの練習を行うことも側方バランスの向上に役立ちます。
万が一、身体を傷めてしまってしばらくの間テニスを休まれていた場合、急に元のレベルでテニスを再開してしまうと、またすぐに身体を傷めてしまうかもしれません。そのため、段階を踏んでテニスに復帰することが望ましいです。
まずは素振りをしてみて、痛みなく素振りができるかを確認します。サーブにおいては、セカンドサーブを打つような感じで軽く打ち始めましょう。また、ショートラリーやボレーを行い、問題ないようであれば徐々に距離を伸ばしてロングラリーへと移行するようにしましょう。
テニスでは、ボールに力を伝えるための股関節や体幹の使い方がとても重要になります。また、股関節や体幹をうまく使えるようになることで怪我の再発予防にもつながります。皆様も長くテニスを楽しんでいけるように、身体のコンディショニングに努めていきましょう。
横山医院 理学療法士 藤平 真二