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変形性肩関節症とは、激しいスポーツや使いすぎなどが原因で肩関節の軟骨がすり減ってしまい、炎症を生じるようになったものです。関節リウマチや上腕骨頭壊死などに続いて発症するものもあり、一度減ってしまった軟骨は元通りに再生することはありません。膝関節や股関節など体重を支えなければならない関節で多く見られますが、肩関節では日常的に体重がかかるわけではないため変形の頻度としては多くはありません。
肩関節の痛みや可動域制限が主な症状となります。安静時や夜間、動作時などに痛みを生じることがあり、肩関節だけでなく頚部や上腕骨の外側にまで痛みの範囲が広がることもあります。変形の程度によって症状は異なりますが、進行すれば徐々に着替えや家事を行うのが不便に感じるようになります。
レントゲンによる特徴的な画像所見として、以下のようなものがあります。
①関節裂隙の狭小化
②骨頭下や肩甲骨関節窩の骨棘形成
③上腕骨頭や関節窩の骨硬化像
関節の隙間が狭くなることで関節が硬くなったり関節面が不整になったりしていないかを確認します。もしもこれらの画像所見がみられた場合、腱板といった肩関節の安定性に関与する組織の損傷も考えられるため、肩関節周囲組織の状態を把握するためのMRI検査も行うことがあります。また、手術が必要になった場合ではより詳しい関節面の状態を知るためにCT検査が必要となることもあります。
保存療法と手術療法がありますが、基本的には保存療法を中心に治療を行います。鎮痛剤や注射、物理療法や運動療法などのリハビリテーションを中心に行います。これらの治療を行っても効果が得られず、日常生活に支障が生じるほどの痛みや可動域制限がある場合には手術療法が選択されることがあります。
手術方法としては「鏡視下滑膜切除術」や「人工肩関節置換術」などがあります。鏡視下滑膜切除術とは、変性が生じている滑膜や腱板の組織を取り除くことで痛みや動きを改善させることを目的に行います。人工肩関節では、金属とプラスチックにより人工的に肩関節を形成します。どちらの手術も痛みの軽減には期待できますが、どの程度動きが良くなるかは肩関節の変形の程度や状態によって個人差があります。
肩関節の可動域制限に対して関節可動域訓練を行います。また、腱板筋のトレーニングを行うことで関節面にかかるストレス軽減を図ることができます。また、就寝時のポジショニングなど普段の生活で負担をかけないための指導を行います。人工肩関節置換後では固定期間があり、肩関節の周囲組織が硬くなるためリハビリテーションを行いますが、どの程度改善できるかは個人差が大きいとされています。