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変形性頚椎症とは、首にある頚椎という骨の上下をつなぐ「椎間関節」という関節の軟骨や椎間板がすり減ってしまうものです。首の骨である頚椎は7つあり、好発部位は頚椎の5/6間、6/7間、その次に4/5間で変形が生じやすくなっています。高齢者になるほど頚椎の間にある椎間関節や椎間板の変性は生じやすくなり、変性を起こした組織が関節に痛みを生じさせたり、神経を圧迫して神経症状を引き起こしたりします。
主な症状としては、頭頚部の可動域の悪化、首や肩の痛み、神経圧迫による腕や足への痛み・痺れや筋力低下などが生じます。これらの症状は普段からの不良姿勢で悪化することもあるため、頚椎症の症状緩和のためには首に負担のかからない正しい姿勢を身につける必要があります。例えば、よくみられる不良姿勢として猫背がありますが、この姿勢は腰に負担がかかるだけでなく、常に首を反っているような状態になるために頚椎の椎間関節に物理的なストレスがかかってしまいます。そのため、慢性的に猫背の姿勢をとることで頚椎椎間関節の軟骨はすり減りやすくなってしまうのです。
また、骨棘と呼ばれる骨の変性が起きてくると、それが周りの神経を刺激して腕や手の痛みや痺れなどを引き起こしてしまうこともあります。あまりにも症状が強く日常生活に支障が出てきてしまうようであれば、手術をすることもあります。糖尿病や長時間の不良姿勢などにより頚部の循環状態が悪くなることや、肥満により頚椎の椎間板や椎間関節への物理的なストレスが増加することなどにより発症するリスクが高まってしまうとも言われているため、生活習慣の見直しが必要な場合もあります。
治療は、ほとんどのケースで保存療法が選択されます。薬物療法による局所的な痛みや神経痛の軽減及び改善、牽引や温熱療法などによる椎間板や首の筋肉の緊張緩和を図っていきます。また、リハビリテーションでは不良姿勢の改善を図ることで変形性頚椎症の進行を防ぎます。不良姿勢は首だけの問題で生じることはなく、腰や骨盤に関しても修正が必要となります。そして、硬くなってしまった首周りの筋肉に対するストレッチや、弱くなってしまった筋肉に対する筋力トレーニングなどを行います。首は下手に動かすと症状が余計に悪化してしまうこともありますので、自分で無理に動かそうとすると大変危険です。そのため、整形外科などで専門家にきちんと首の状態を評価してもらうことが大切です。