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橈骨遠位端骨折は高齢者に多い骨折で、主に転倒によって生じます。また、骨粗しょう症である場合は骨折のリスクが大きくなり、小さいエネルギーでも骨折してしまうことは少なくありません。骨折部の転位が小さい場合は徒手による整復を行ってからギプス固定による治療が行われるが、ギプス固定中に再び転位してしまった場合や不安定性のある骨折では手術が行われることもあります。
橈骨遠位端骨折は「関節外骨折」と「関節内骨折」とに分けられます。骨折の分類は、以下のようになっています。このなかでもColles(コーレス)骨折が最も多く、転倒したときに顔や身体を守るために、前方に手をついてしまうことで生じることが多いとされています。
関節外骨折
関節内骨折
保存療法が可能な骨折に対してはギプス固定を行い、おおよそ4~5週間の固定を要します。その際、手の指の動きは自由にしておくことで硬くならないようにしておきます。また、指をこまめに動かすことで手や指のむくみを予防する効果もあります。むくみを放っておいてしまうと皮膚にゆとりがなくなり、関節可動域制限の要因になってしまいます。また、転位が大きいなど不安定性を有する骨折に関しては手術による固定が行われます。最近の手術ではプレートによる固定が多く、予後も良好なことが多いです。
ギプスが外れたら早期から関節可動域訓練や筋力トレーニングなどのリハビリテーションを行い、手部や指の機能改善を図っていきます。橈骨遠位端骨折では手根骨という小さい骨の動きが悪くなっていたり、腱の滑走が悪くなっていたりする場合も少なくありません。そのため、リハビリテーションにおいて手根骨の動きを出したり腱を滑走させるような練習を行うことで腱の短縮や癒着の予防を図っていきます。もしも癒着が生じてしまうと、指を曲げたときなどに伸張痛が生じたり、骨同士がぶつかることによって生じるインピンジメントによる痛みが生じたりすることがあります。また、骨組織への非荷重や循環不全によって骨萎縮が生じてしまうことがあります。そのため、早い段階から痛みの様子をみながら徐々に荷重をかけていくようにすることで、骨萎縮を予防していく必要があります。