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歩行速度の求め方や低下の原因及びトレーニング方法について

【歩行速度とは】

歩行速度は、バランス機能、筋力、循環機能など、全身の運動機能の指標になります。歩行速度については色々な研究があり、「歩行速度=歩行距離÷時間」で求められます。参考までに、国立長寿医療研究センターの研究では、65-69歳の男性は1.43m/秒、女性は1.38m/秒、70-74歳の男性は1.36m/秒、女性は1.29m/秒、75-79歳の男性は1.29m/秒、女性は1.22m/秒、80歳以上の男性は1.23m/秒、女性は1.09m/秒となっています。また、体型や歩く環境によっても異なります。

 

警視庁のホームページによると、歩行者用信号の青時間は、横断歩道の長さによって異なります。一般的には、歩行速度を秒速1メートルとして道路を渡りきれるようになっています。また、交通量の差によって多少の猶予時間がプラスされており、場所によって違いがあります。

 

中高年が歩いているイラスト

 

【歩行速度の求め方】

皆さんは、自分の歩く速度がどれくらいか知っていますか。歩行速度はリハビリテーションの場面でどのように計測しているのでしょうか。歩行速度は「距離÷時間」ですので、距離を決めてそれにかかる時間を計測するか、時間を決めて距離を測定する方法があります。その中で、よく行われているのが「10メートル歩行テスト」になります。このテストでは、かかる時間から歩行速度を求めるだけでなく、歩数・歩幅・歩行率(歩数÷時間)などを測定しています。

 

【歩行速度の低下の原因】

先ほどの年齢別データで示されていますが、なぜ加齢とともに歩行速度が低下するのでしょうか。

  • 加齢による下肢の筋肉量の減少が一つの原因になります。特に、加齢により筋肉量が減っていくと、歩行も含めた身体全体の活動量が減ってしまいます。そして、それがさらなる筋肉量の減少を招いてしまうということが問題になります。
  • 股関節や膝関節などの歩行に重要な関節が、加齢によって硬くなり、可動域が狭くなることも一つの原因になります。つま先で地面をしっかりと蹴って足を前方に振り出し、また踵から足を着くという基本の歩行動作に悪影響を及ぼし、歩行速度に影響します。
  • 脳の細胞も加齢により次第に減少するので、関節の動きを感知をする能力が低下します。また、視覚や平衡機能をつかさどる目や耳の衰えなども、バランス能力の低下を引き起こし、歩行速度に影響を与えます。
  • 加齢による姿勢の変化も歩行速度に影響を及ぼします。ある研究では「背中が曲がっている人」、あるいは「前かがみの姿勢になっている人」ほど歩行能力が低下するという結果が示されています。

高齢者が歩行器を使って歩いているイラスト

 

【歩行速度と寿命の関係】

歩行は日常生活動作において重要な機能であり、歩行能力の低下は日常生活動作(ADL)レベルの低下につながります。歩行能力の中でも、特に歩行速度は死亡リスクとの関連性も強く、高齢者の身体機能、日常生活機能の指標となります。歩行速度が速いほど生活機能が維持しやすく寿命も長いとされています。

 

そして最近話題になっている、サルコペニアやフレイルの診断基準の項目にも、歩行速度が入っています。通常歩行速度が1.0m/秒未満だと、フレイル診断基準の一つに該当することになります。この点からも、歩行速度の維持は重要です。

 

【歩行速度を維持する為のトレーニング方法】

それでは歩行速度をなるべく維持するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。歩行速度の維持には下肢や体幹の筋肉の筋力トレーニングが有効とされています。とくに姿勢を保つための抗重力筋である下腿三頭筋、大腿四頭筋、大殿筋、中殿筋、前脛骨筋、ハムストリングなどの筋肉、体幹の安定に関わる腹横筋、腹斜筋群の運動が有効とされています。その中から簡単にできることとして、横歩きについて紹介します。

 

横歩きはその名の通り横方向に進む歩き方で、中殿筋などの筋肉を強化する効果があります。行う時のポイントは前かがみにならないことと、脚(股関節)を広げたときにお尻の外側の筋肉を意識して動かすことです。まっすぐ立って、筋肉を意識しながらゆっくり動くように行います。安全の為テーブルを伝いながら、あるいは手すりを握りながら実施してください。

 

横山医院 理学療法士 横井宣恵

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