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睡眠が人にとってとても大切だということは皆様もなんとなく感じてらっしゃることかと思いますが、具体的にどのような効果があるのかわからないといった方も多いのではないかと思います。
そこで、今回は睡眠の重要性とその効果についてお話させていただきたいと思います。睡眠の効果の中でも特に整形外科的な部分と関連のある内容に注目してみたいと思いますので、ご興味のある方は目を通していただけると幸いです。
整形外科にいらっしゃる患者様は、慢性的な身体の痛みに悩まされている方が多くいらっしゃいます。痛みというものは、単純に筋肉や関節を傷めたから痛みが出るというだけでの問題ではありません。特に慢性化してしまった痛みは、その痛みになかなか改善がみられないケースも多くあります。
その原因の1つとして、自律神経系の乱れが生じてしまうことで痛みがなかなか改善しない場合があります。自律神経とは生きるために必要な活動を勝手に行ってくれる神経で、主な作用としては体温調節、消化活動発汗の調節などを行っています。
その自律神経ですが、その自律神経がバランスを崩してしまうと、交感神経という神経が過度に活動しているような状態に陥ってしまうことがあります。そうなると人は痛みを過度に感じやすくなり、痛みに対して過敏になったり不定愁訴が生じたりすることがあります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経とは活動時によく働く神経で、主に日中に働きます。一方で副交感神経とはリラックスしているときに働きやすい神経で、夜になるとよく働きます。
これら自律神経のバランスを整えるためにとても重要なのが睡眠です。睡眠時には通常、副交感神経が優位になりますが、睡眠不足だったり睡眠の質が悪かったりすると副交感神経の働きが低下して、交感神経の活動が過度に高くなってしまうことがあります。そのような状態になると痛みに対しての感受性が高くなり、慢性痛へと移行するリスクが高くなります。
また、自律神経のバランスが崩れると「自律神経失調症」になってしまう可能性があり、身体に様々な不調をきたしてしまうことがあるので注意が必要です。そのような状態にならないためにも、規則正しい睡眠のリズムを保つのはとても大切なことです。
整形外科にいらっしゃる患者さまには、関節に物理的なストレスがかかっていてなかなか痛みがとれないといった方も多くみられます。そして、関節にかかる物理的なストレスを考える上で切っても切り離せないのが体重です。そのため、いかに体重をうまくコントロールするかは関節にかかる負担を考える上でとても重要なことと言えます。
人の食欲に関わるホルモンとして、「グレリン」と「レプチン」があります。「グレリン」は胃から分泌されるホルモンで、食欲を増加させる働きがあります。一方の「レプチン」は脂肪細胞から分泌され、食欲を抑えたり基礎代謝をアップさせたりする働きがあります。
人は睡眠不足に陥ると「レプチン」の分泌が減り、「グレリン」の分泌が増える傾向にあります。そのため、夜遅くまで起きている人は自然と食欲が増加していることが多く、気が付いたら食べてしまっているといったことも少なくないかもしれません。皆様も、夜遅くになると急に何か食べたくなった経験はないでしょうか。それは「グレリン」の作用による影響が大きいのかもしれません。
食欲を適切な状態に保つためには、夜更かしをせずに十分な睡眠時間を保つ必要があります。ある研究では、睡眠不足の人はそうでない人と比べると1日当たり300kcalも多く摂取していたとの報告もあります。そのような状態が連日続けば、徐々に体重が増えていってしまうことは容易に想像できるかと思います。
これまで睡眠の重要性についてお話させていただきましたが、早く寝た方が良いことはわかっていてもなかなか寝付けない方もいらっしゃるかと思います。健康的な睡眠習慣を身につけるには、下記のような方法があります。良い睡眠を得るための参考にしていただけると幸いです。
・毎朝決まった時間に起きて朝日を浴びる
・朝食を摂る
・夕食は、寝る3時間前にすませておく
・寝る1~2時間前に、39~40℃程度のお湯に15分程度つかる
・寝る1~2時間前には、テレビやパソコン、スマホなどの光をなるべく見ないようにする
全てを実行するのは難しいという方でも、できることから始めてみてはいかがでしょうか。睡眠は、今回説明させていただいた効果以外にも身体にとって様々な効能があるので、睡眠を疎かにしてしまうと色々な健康問題が生じる原因となってしまいます。皆様も良い睡眠習慣を身につけて、健康的な生活を送るように心がけていきましょう。
横山医院 理学療法士 藤平 真二