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脳卒中の早期発見の重要性と最近の治療とリハビリテーション

【脳卒中とは】

脳卒中とは、脳の血管に生じる様々な障害の総称のことをいいます。主な脳卒中の種類には「脳梗塞」「脳出血」「クモ膜下出血」などがあり、これらの脳卒中による死亡者数は毎年10万人を超えています。また、脳卒中は要介護状態になる原因として最も多い疾患です。

 

脳卒中を発症した男性のイラスト

 

【脳卒中の前兆】

脳卒中は、発症してからいかに早く発見できるかが、その後の死亡率や後遺症の有無や程度に大きく関わってきます。脳卒中は突然起こるものだと思われている方も多いかと思いますが、ある調査では脳梗塞の発症前に一過性脳虚血発作(TIA)の経験があるという方が3人に1人いたとのことです。

 

TIAとは、血管の中を流れてきた血の塊が一時的に脳の血管に詰まってしまい、それにより一部の脳領域が酸欠に陥ってしまうものです。ただ、小さな血の塊は自然に溶けるので、もしも脳機能低下の症状が出たとしても数分から数時間で消えます。

 

ただ、症状は一時的なものだとしても、TIAをそのまま放置しておくと、その後の脳卒中の発症リスクが非常に高くなります。そのため、脳卒中を疑うような症状がみられた場合、すぐに改善したとしても病院へ検査に行って脳の状態をチェックしてもらった方が良いでしょう。また、脳卒中の簡易的なチェック方法には「FAST」というものがあります。

 

脳卒中チェック 「FAST」

F(Face):顔の片側だけうまく力が入らない

A(Arm):手のひらを上にして腕を前に伸ばしても挙がらない

S(Speech):呂律が回らなかったり言葉がでなかったりでうまく話せない

T(Time):上記のうちの1つでも症状が出たら、時間をおかずにすぐに救急車を呼びましょう

 

脳卒中の特徴的な症状のイラスト

 

【脳卒中の原因】

脳出血の主な原因は高血圧だと言われています。血圧が高くなると血管の壁に負担がかかり、それにより血管が破れてしまい、出血部位より先の血流が失われることで脳の障害が生じます。また、脳梗塞の主な原因は動脈硬化で、血管がもろくなると血の塊(血栓)ができやすくなり、血管が詰まってしまうことで脳の障害が起こります。

 

動脈硬化は血圧が高い状態が続くと生じますが、それに糖尿病や脂質異常症などが加わると動脈硬化が進行しやすくなります。高血圧や糖尿病・脂質異常症などは短い期間で身体がどうにかなってしまうわけではありませんが、長い期間をかけて徐々に人の血管を傷めつけていきます。そして、その間は特に症状があるわけでもありませんので、異常を感知するためには定期的な健康診断を受けることが重要になります。

 

【脳卒中の治療】

脳梗塞の場合では、脳の血栓を溶かして血流を改善するような薬を使用します。発症直後では「血栓溶解療法(t-PA)」により治療を行うのですが、この方法は発症後4.5時間以内でないと行えない方法であり、他にもいくつかの禁忌事項があるため全員に使えるわけではありませんが、この方法で早期に治療が行えた方では後遺症が残らない人も多いようです。また、再度血流が滞らないために、血液を固まりにくくするための薬なども用います。

 

発症から4.5時間を過ぎてしまった場合でも、8時間以内であれば「血栓回収療法」という方法での治療を行うことができます。これは、下肢の動脈から脳に向かってカテーテルを侵入させ、ステントと呼ばれる網目上の金属を用いて血栓を回収する方法です。

 

クモ膜下出血では、脳の動脈にできた動脈瘤と呼ばれるコブのようなものが破裂することで生じます。この動脈瘤が大きくなってくるとクモ膜下出血のリスクが高くなるので、コイル塞栓術という方法を用いて動脈瘤への血流を遮断することがあります。現在ではコンピューター上で動脈瘤内の血流を推測することができるため、以前よりも的確に状態を判断することができるようになっています。

 

その他にも様々な治療法がありますが、脳卒中の種類や発症からの時間帯などによっても治療法は異なります。いずれの脳卒中でも、とにかく大事なことは早期発見だということだけでも覚えておいていただけると幸いです。

 

【脳卒中のリハビリテーション】

脳卒中では身体や脳に現れる症状も様々です。麻痺症状や関節可動域制限、バランス低下や歩行困難、さらには高次脳機能障害により会話や日常生活に支障がでてしまうこともあります。そのため、それぞれの症状に対応したリハビリテーションを、チーム医療として包括的にケアしていく必要があります。

 

脳卒中のリハビリのイラスト

 

また、リハビリテーションの世界でもAIを用いた治療機器が増えてきています。皮膚から電気信号を読み取り歩行など身体の動きをサポートするロボットや、歩行映像を解析しフィードバックを受けることで、より効率的な歩行練習が可能となる歩行サポート機器もあります。また、脳波を感知して義手を動かす技術など、AIの発展は目覚ましいものがあります。

 

これからの時代、リハビリテーションにおいてAIをさらに発展させ活用していくことで、新たな可能性もみえてくるかもしれません。もちろん人でしか行えない考え方や技術もありますので、様々な方向から患者様に対してアプローチしていければ良いのではないかと思います。

 

横山医院 理学療法士  藤平 真二

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