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膝内側側副靭帯損傷

【概要】

膝関節の安定性には、靭帯による安定性機構が重要とされています。そのため、靭帯を損傷してしまうと膝関節の安定性機構が低下してしまいます。膝の靭帯のなかでも内側側副靭帯は最も損傷頻度が高く、ラグビーやアメリカンフットボール、あるいはサッカーなど接触を伴うスポーツで発症率が高いとされています。

 

【原因】

膝が内側に入ってしまい、膝関節内側の靭帯に強い外反ストレスが加わることで損傷が生じます。例えば、ラグビーやサッカーで横からタックルを受けたときなどにバランスを崩してしまうことが原因として挙げられます。それ以外でも、交通事故や転倒などによって損傷してしまうことがあります。

 

サッカー

 

【症状】

膝の内側の痛みや腫れなどの炎症症状がみられます。また、膝を外反方向に動かしたときの痛みや動揺がみられます。

 

【診断】

膝関節内側での圧痛や外反ストレステストでの痛みや動揺の有無により診断され、靭帯損傷の程度はGrade Ⅰ~Ⅲに分けられます。損傷の部位や程度などの正確な検査を行うにはMRI検査が有用ですが、その場ですぐに損傷の有無を確認する検査としては超音波画像診断も有用です。当院でも超音波画像診断を行っているので、もしも疑いのある症状があれば当院までご相談ください。

 

【治療】

基本的には保存療法で治療を行います。損傷直後はRICE療法を行い、Grade Ⅱからは装具による固定が必要になります。また、痛みに対しては湿布を貼ったり、電気療法や超音波療法などを行います。Grade Ⅰでは炎症や痛みがなくなれば1~2週間でのスポーツ復帰が可能です。Grade Ⅱでは4~6週間、Grade Ⅲでは8週間以上を目安としてスポーツ復帰を考えます。また、スポーツ復帰に向けてのリハビリテーションも重要となります。

 

【リハビリテーション】

膝関節の可動域訓練や筋力トレーニングを行います。膝関節周囲の筋力のバランス不良があると、スポーツ動作時の姿勢の崩れが生じ、再発の恐れが高くなります。そのため、全身的な動作時の姿勢のチェックやバランス訓練なども行います。例えば、足を一歩前に大きく踏み出した「ランジ姿勢」や「スクワット」で膝の動揺が出現しないかどうか、安定して行えるかどうかなどを確認します。もしもそれらの動作が安定して行えるようであれば、徐々に実際のスポーツ動作の練習を行っていきます。

 

ランジ

 

 

スクワット

 

また、スポーツ動作を行った時に痛みがでていないかのチェックも重要になります。もし痛みが出現するようであれば、まだ損傷部位の回復が十分でないか、あるいは安定して動作を行えていない可能性があります。特にGrade Ⅱ~Ⅲの損傷に関しては段階的にスポーツ活動を復帰していくことが大切です。

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