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膝蓋骨とは「膝のお皿」のことで、大腿骨とは「太ももの骨」のことです。通常膝の曲げ伸ばしをする時、膝のお皿は上下左右に少しずつ動き大腿骨の上を滑らかに移動します。しかし、何回も繰り返しストレスがかかると膝蓋骨周囲に炎症が起きたり、膝蓋骨の裏と大腿骨の全面の軟骨が削れてきて、次第にギシギシと引っ掛かり痛みや可動域の制限が現れます。特に階段の昇り降りなど膝に負担がかかる動きの時に、膝の前(お皿の周りや奥)に痛みを感じます。
①股関節や足関節がうまく使えず、膝関節優位の動き方による繰り返しの膝へのストレス②坂道・階段・ジャンプ・ランニングなど膝の屈伸の繰り返し③体重増加・筋力低下に伴う膝の不安定性④膝蓋骨の脱臼・亜脱臼などの不安定性とアライメント変化、などにより膝蓋骨と大腿骨が擦れて炎症が起きたり軟骨がすり減ってギシギシ音が鳴ったりします。誰でもなり得る疾患ですが、ホルモンの関係や元々の膝関節周囲筋の強さ、アライメントの形状などの関係から比較的女性に多いのが特徴です。退行変性が進み骨や周囲の組織の変性・変形が進行すると、骨棘なども形成されて膝のお皿が上下左右に動かなくなり、膝の曲げ伸ばしも出来なくなってきます。
膝の安静を保ちつつ、湿布・ヒアルロン酸関節内注射などで消炎鎮痛と膝関節の保護を行います。そして、膝の負担を減らすために膝周りと股関節周りの筋力強化を行います。膝蓋骨の変形が強い場合や脱臼で不安定性が強い場合は手術療法を用いることもあります。膝蓋骨の脱臼は、お皿が外側に動き過ぎる状態になります。元々関節の柔らかい方や内股(x脚)の方は注意が必要で、筋肉を強化して正しい足の使い方をすることが必要です。
痛みの改善や予防には、膝の保護と同時に使い過ぎないような動き方の改善が必須です。中でも正確なスクワット姿勢の練習は特に大切で、しゃがみ込みや階段の登り、立ち上がりなどの動きに直結します。具体的には「膝が内側に入らない・つま先よりも前に出ない」ようにお尻を後ろに突き出して行うやり方ですが、難しい方は椅子に座った状態から上半身を前傾し、椅子から少しお尻を浮かせてストップする(スキージャンプの姿勢)などちょっとした動きから始めると良いでしょう。
最近はランニングや山登りが趣味の方が増えていますが、膝の前に痛みを感じたら負担をかけ過ぎているかもしれません。痛みが強くなる前にしっかりケアを行いましょう。お困りのことがありましたらお気軽にご相談下さい。