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舟状骨骨折とは、親指の付け根にある「舟状骨」と呼ばれる骨に骨折が生じた状態をいいます。舟状骨は手の関節を構成する8つあるうちの骨の一つで、船底の弯曲に似た形から名前が付けられたとされています。親指を反らせると親指の付け根部分にくぼみが形成され、この部位に舟状骨が位置しています。また、手の骨折のなかで80%以上を占めるほど好発しやすい骨折です。
スポーツや事故などで、手のひらをついて手首を反った状態で転ぶと起こりやすい骨折です。特にスポーツをしている若年者に多い傾向にあります。
受傷直後は、親指の付け根に痛みや腫れが起こるのが特徴です。しかし、骨に大きなズレがない場合には痛みがそれほど強くならず、手首の捻挫として認識されることもあります。時間とともに軽快し、一見すると治癒傾向にあるように感じてしまいますが、手をついたときや重い荷物を持ったときなどに痛みを生じ、力が入りにくくなります。
骨折と判断できないような症状でも、明らかに手をついてケガをしていたり、親指の付け根の痛みや押した際の痛みがあったりすれば、骨折と想定して早期から治療を開始することが非常に重要です。
レントゲン画像からは発見がしづらく診断が難しいため、早期診断にはMRIが有用とされています。舟状骨骨折では、痛みがさほど強くないことで長期間放置されるケースも稀ではありませんが、治療せずにいると骨折した箇所が偽関節(骨折した骨がうまく癒合せず、本来つながっている部分がくっつかずに関節のようになる状態)になってしまう恐れがあります。また、舟状骨は血流が悪く可動性も高いため、骨の癒合が得られにくいという特徴があります。
受傷直後に診断がついた場合、局所の安定を図るためギプス固定して治療することがあります。しかし、舟状骨骨折のギプス固定は他の骨折より長期に及ぶことも多いため、特殊ネジによる固定を行って治療期間を短縮する手術も行われています。偽関節になってしまうと手首全体が悪くなってしまうため、専門医でも非常に難しい手術になります。
ギプス固定除去後は関節や筋肉が硬くなり、筋力低下も起きてしまうため関節可動域訓練や筋力訓練などを行い機能改善を目指します。また、再度転倒しないようにバランス訓練や下肢・体幹の筋力強化など、骨折部以外のリハビリテーションも行っていきます。