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皆様はコロナフレイルという言葉を耳にしたことはありますでしょうか。最近はNHKなど各メディアで特集を組まれて徐々に広まりつつあるようです。本来、「フレイル」とは加齢に起因する生活不活発により心身が虚弱することを意味しますが、コロナフレイルはコロナウイルス蔓延によってもたらされた生活の不活発化を引き金として起こるフレイル(≒虚弱)を意味し、コロナウイルス蔓延に伴い造語されました。
2020年2月28日の第一回目の緊急事態宣言を皮切りに、実に1年数か月もの間、外出自粛を強いられてきました。これにより私たちの生活習慣は大きく変化し、これが私たちの心身に影響して様々なフレイル状態(≒虚弱状態)を引き起こしていると考えられています。
実際に厚生労働省の調べによると、介護する度合いが進んだ場合に申請する「区分変更申請」の件数が全国的に急増しており、2020年4~11月までの件数と前年同時期の件数を比べると、多い月では20%強もの増加が認められました。また、2020年10月には要支援から要介護へと変わった件数が前年同月比で実に30%強も増加を認めたそうです。
フレイル状態(≒虚弱状態)とはどんな状態を意味するのでしょうか。フレイルには身体的フレイル、精神的フレイル、社会的フレイルがあります。これらすべての要因が相互に影響することで負の連鎖を形成して、加速的にフレイル状態が進行していくことが知られています。
筋肉の減少による自立度低下、活動量が低下
口腔の機能低下(オーラルフレイル)による食事量減少、偏食、栄養状態悪化
認知機能の低下、意欲の低下、関心の低下、気分的なうつ状態
孤立、外出頻度の低下、交流の場への参加低下
フレイルには様々な判定基準がありますが、ここでは介護予防対象者を判定するために厚生労働省が作成した「基本チェックリスト」と呼ばれている以下のリストを紹介します。
フレイル状態をそのままにしておくと要介護状態へと進行していくことが知られておりますが、逆に様々な点に注意して生活を見直すことで改善し脱却することが可能であると考えられており、早期に発見して対応することが重要とされています。
ではフレイル状態から抜け出すためにはどんなことに注意することが必要なのでしょうか。
そのポイントは3つ!「運動」「栄養」「社会参加」です!
「少し疲れた」程度の無理のない強度の運動を継続していくことが大切です。運動の内容は何でも構いません。例えば感染対策を行ったうえでの近所の散歩や、椅子からの立ち座り運動など、安全で痛みの無い継続可能な運動を見つけていただくことがポイントです。
インターネットで「フレイル、運動」などで検索すれば無数に動画を見つけることができます。ご自分に合った動画を探して毎日継続することもコロナウイルス蔓延したこのご時世には良いのかもしれません。とはいえ、なかなかお一人では運動習慣を継続することは難しいと思われます。そんな場合はお一人で悩まず、お近くの「地域包括支援センター」にご相談ください。
総カロリーを十分に摂取しつつ、バランスの良い栄養(食品多様性)が大切です。バランスの良い食事のキーワードは「さあにぎやか(に)いただく」です。特に三大栄養素のうち、筋肉の素材でもあるたんぱく質が不足する傾向がありますので、意識して摂取することが大切です。
※ただし、体重減少が止まらない場合には、なるべく早めに医師の診察を受け専門家による支援を受けることが重要です。
お一人で解決することが難しい場合は全国の自治体ごとにフレイル対策として様々な介護予防事業を展開しておりますので、お一人で悩まず地域包括支援センターにご相談を!!
コロナフレイル対策について厚生労働省がまとめたサイトへのリンクを張らせていただきました。
こちらもぜひご参考にしてみてください。
横山医院では医師による栄養状態の診察や看護師による管理、介護保険を利用した通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションによる運動療法や社会的交流の促進、生活習慣の是正等、フレイル脱却支援にも力を入れて体制を整えております。
通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションはコロナウイルス蔓延から新規依頼が急増しており、コロナフレイルの影響を身近に感じているところであります。もしご自身やご家族のご状態にご不安がございましたら、お一人で悩まず何なりとご相談いただければと思います。
横山医院 理学療法士 横山 武生