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皆さん、ダイエットがなかなか成功しなくて困っていたり、昔に比べて体温が低くなっていると感じたりすることはありませんでしょうか。今回は体温とダイエットの関係についてお話をしてみたいと思います。
体温は健康のバロメーターです。暑い夏でも手足が冷える、入浴で一度温まったはずなのにすぐに体が冷えてしまう、手足が冷えて寝付けない、食事管理や運動をしているのに体重が減らずダイエットを諦めてしまうといったようなことはありませんでしょうか。それらの原因の1つとして、低体温の可能性があります。これから低体温についてお話をさせていただきます。
人間の体温は36~37℃で調節されています。体温が36℃を切っていると低体温症と考えられます。
ご自身の平熱を知りたい方は、3日間、朝・昼・夜に体温を測ってみてください。その平均を割り出すとご自身の平熱がわかります。
60年前の調査では、日本人の平熱は36.89℃でした。近年では36.2℃とだいぶ体温が下がっているようです。体温の平均が下がってしまった原因として、昔に比べてエレベーターやエスカレーターの普及、交通機関の発達など利便性が向上していることにより運動量が減少し、それに伴い筋肉や基礎代謝量が減少することで、自ら熱を産生する機会が少なくなっていることが考えられます。そのほかにも以下のような理由が原因として挙げられます。
・冷暖房が完備されている環境下で過ごすことで、体温調節機能がうまく働かない。
・仕事や人間関係のストレスにより自律神経の働きが乱れ、体温調節がうまくいかない。
・ゆっくりお風呂につからずシャワーですませてしまうため、身体を温める機会が少なくなっている。
皆様は思い当たる節はありましたでしょうか。
体温が1度下がると1日の基礎代謝が約12~13%低下すると言われています。なかなか想像しにくい数字ですが、基礎代謝が1200キロカロリーの方の場合、体温が1度下がると1日の代謝が144キロカロリー下がってしまいます。例えば、かまぼこ約1本150グラムで140キロカロリー、食パン6枚切り1枚で160キロカロリーです。
これを1年で計算すると、144キロカロリー×365日=52560キロカロリーも消費カロリーが変わってきます。脂肪に計算すると、脂肪は1キロ7700キロカロリーなのでなんと6.83キロも脂肪を貯蓄する計算になります。
低体温になると身体が水分や脂肪をためこみやすくなり、血液やリンパ液の流れが悪くなります。リンパ液は細菌や異物を濾過、貪食、除去するなどフィルターの役目を果たします。リンパ液の流れが悪くなると身体に溜まった老廃物がうまく排出されないため、むくみやセルライトができやすい体質になってしまいます。
体温が下がると血流が悪くなり、体内のパトロールをしている白血球の働きが低下するため体内のウィルスや細菌を素早く駆除することができず、さまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。
体温が上がることによって基礎代謝が活発になることで痩せやすく太りにくい身体になります。体温が1℃上がると基礎代謝は12~13%もアップすると言われており、普段通りの生活をしているだけでも多くのエネルギーを消費してくれます。
基礎体温が上がると血液の流れが良くなり免疫力が上がります。血液は私たちの体を構成する約60兆個もの細胞に栄養と酸素を送り届け、代わりに老廃物を掃除する働きをしています。身体の免疫システムが正常に働く体温は36.5~37.1℃と言われていて、体温を1℃上げると免疫力は5倍から6倍にアップすると言われています。
血液の中には免疫機能を持った白血球が存在し、白血球が身体の中をめぐることで、体の中の異物をパトロールしています。つまり低体温を改善させ、免疫システムが正常に働く体温にキープすることで、体調不良の改善や風邪を引きにくい身体をつくることができます。また、がん細胞は35℃台で最も繁殖する性質があるという研究結果もあり、低体温を改善することはがん予防にも効果的だと考えられます。
体温が上がることによって内臓が活発に動き、ターンオーバーが正常となり美容にも効果的です。理想的な体温では、新陳代謝が上がることにより身体の中の毒素を体外へ排出する働きがスムーズになり、肌艶が良くなったり、しみの予防にも効果的があったりします。他にも、むくみの解消や髪の毛のハリ、艶のアップなど美容と体温は切っても切り離せない関係にあります。
時間がなかったり掃除が面倒であったりなどの理由で、入浴せずにシャワーで済ませている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、体温を上げるもっとも簡単な方法は湯船につかることです。38~40℃のぬるめのお湯に10~20分ほど入り、体を芯から温めると効果的です。
1日1回10分ほど湯船に浸かることで体温が約1℃上昇します。湯船につかることで下半身に水圧がかかり静脈やリンパ液が押し上げられ、むくみが改善します。それにより心臓に戻ってくる血液の量が増え、全身の血行がよくなります。半身浴よりも全身が肩までしっかり浸かる全身浴がおすすめです。
朝の起きがけに白湯を飲んでみましょう。胃腸などの内臓機能を温めることにより血の巡りがよくなり、内臓の温度が1℃上がります。朝はごはんを食べる30分前に飲むのが理想で、飲む際には一気に飲むのではなく、ゆっくりと10分~20分くらい時間をかけて飲むことが大切です。白湯を飲んだ際に苦く感じたりするようだと毒素がたまっており、デトックスされると白湯が甘く感じられるそうです。
体温を上げる食材の代表は、生姜と色が黒い食材です。黒い素材というのは黒豆や黒ゴマなどのように素材自体が黒いものや、黒砂糖や玄米など栄養価を残したものなどを指します。ダイエットしたいからといってきゅうりやレタス、トマトなどの体温を下げる生野菜をたくさん摂取すると体温を下げてしまい痩せにくい身体になってしまうので食べすぎには注意です。
毎日30分程度、体温の一番低い朝にウォーキングをおこなうことで0.7~1℃体温が上昇します。毎朝一気に体温を高めることで1日の体調が良くなり、約30分ほどの有酸素運動で毎日8グラムの内臓脂肪を減らすことができます。
それに加えて、毎日スクワットを10回でいいので続けていきましょう。全身の筋肉のうち下半身の筋肉が占める割合は60~70%です。つまり、脚の筋肉を鍛えれば全身の60%以上を鍛えられるということになります。スクワットのやり方としては、椅子の前に立って足を肩幅に広げ、5秒ほどかけてお尻が椅子につかないぎりぎりの位置まで膝を曲げていき、そこまでおろしたらゆっくりと膝を伸ばしていきましょう。また、つま先より膝が前に出ないように注意しましょう。
無理な食事制限、長時間の運動、過度な筋トレは健康的に痩せるどころかリバウンドや怪我の元になってしまいます。まずダイエットを始める前に自分の基礎体温を上げて、基礎代謝を上げることによって、健康に痩せやすい身体づくりをすることから始めてみてはいかがでしょうか。
横山医院 理学療法士 高橋 洋平