医院ブログ
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【はじめに】
昔から「スポーツにケガはつきもの」とよく言われますが、ケガは競技パフォーマンスの低下や一時的な休止を生じさせます。また、重症度によっては競技をあきらめるケースも少なくありません。そのため、出来るだけケガはしたくありませんし、本人の意識だけでなく指導者など周囲の協力によって予防していくことが重要です。
スポーツ医学の進歩による医療体制の強化や、競技パフォーマンス及び身体の使い方などを専門とした指導者や運動施設の増加により、ケガの予防や早期復帰・再発予防が積極的に行われるようになりました。しかし、スポーツによるケガで医療機関を利用する方はいまだに多い現状にあります。そこで、今回はケガの種類や予防法についてご説明させていただきます。
【スポーツにおけるケガの種類】
スポーツにおけるケガを「スポーツ傷害」といい、スポーツ障害とスポーツ外傷に分けることが出来ます。スポーツ障害は、使い過ぎ(オーバーユース)など繰り返しの動作で少しずつ外力が加わることで起きるケガのことで、いわゆる野球肩や野球肘、疲労骨折やシンスプリント、ジャンパー膝などが含まれます。これらのケガは、日頃からのストレッチやトレーニングにより大幅にケガの発生を予防することが出来ます。
スポーツ外傷は、衝突や接触など一発の大きな外力で起こるケガであり、骨折や脱臼・捻挫、靭帯損傷などが含まれます。こちらは、セルフコンディショニングで防げる部分ではありますが、ケガの原因が事故的な部分もあるため防ぎきれないといった要素もあります。そのため、スポーツ外傷に対しては、初期対応と緊急対応の準備が競技復帰や継続のためにも重要となってきます。
【スポーツ傷害の原因と経過】
年齢や競技特性により、傷害の種類や部位が異なってきます。年齢は成長期と成人以降で違いがあり、成長期は成長軟骨の存在や靭帯よりも骨の強度が脆弱なため、骨や成長軟骨での障害が多い傾向があります。それに対して、成人以降は骨や靭帯が成熟するため、靭帯・筋・腱での障害が増える傾向があります。競技による違いとしては、野球やソフトボールなどのオーバーヘッドスポーツでは肩・肘をはじめとする上肢障害が多く、サッカーや陸上などでは下肢障害が多くなります。また、ラグビーやアメリカンフットボールなどの接触の多いスポーツでは、骨折や靭帯損傷などのスポーツ外傷が多く見受けられます。
それぞれの対処方法は異なりますが、どのようなケガでも初期対応がとても重要です。例えば、足関節の捻挫では「捻っただけ」とアイシングと少し休んで、痛くなくなったら運動してしまうケースが多く、軽視されやすい傾向にあります。しかし、実は多くのケースで靭帯を損傷しており、緩んだ靭帯の影響で足関節不安定症という障害を起こし、様々なケガや痛みに発展しかねません。そのため、少しのケガでも一度病院等を受診し、レントゲンやエコーなど必要に応じてMRIなどで精査して適切な治療や対処を行うことも大切です。
【スポーツ傷害の予防方法】
予防のポイントは、ストレッチやセルフマッサージ、トレーニングなど日頃からのセルフケアの実施、食事や睡眠のバランスなどです。セルフケアでは、運動に必要な柔軟性や可動域の獲得だけでなく、血流の促進による疲労回復のためのストレッチが有効です。最近では、ストレッチポールやフォームローラー、マッサージガンなどご自身でケアを行えるグッズも充実しているので、それらを活用するのもおすすめです。
食事では、プロテインやサプリメントなどの補助食品を取ることも有効ですが、ケガを防ぐ強い身体を作るための前提として、栄養バランスの取れた食事を心掛けることが重要です。また、疲労が残った状態だとケガをしやすくなるため、リカバリーのためにも7~9時間程度の睡眠時間を確保できるといいと言われております。ケガの予防には「硬ければ柔らかくする」「弱ければ強化する」「疲れているのであれば積極的に休息をとる」など、自分で自分の状態を整える=セルフコンディショニングという考え方を持つことが重要です。
【おわりに】
ケガをすると選手生命の短縮やパフォーマンスの低下につながり、つらい思いをしてしまうことも少なくありません。可能な限りケガを防ぐことで、日常生活の不便さの改善はもちろんのこと、競技生活を長く送れるようになります。スポーツを楽しむためにも、日頃の心がけで行える予防に取り組みましょう。当院においても、スポーツ選手やスポーツ愛好家の方々の痛みと向き合い、1日も早い回復や復帰に向けてリハビリテーションや運動指導を行っております。また、その方々にあったセルフコンディショニング方法もご提案させていただきます。
横山医院 理学療法士 塩谷 直久