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お酒と健康|適量な飲酒量やアルコール分解に要する時間とは

【飲酒の適量について】

厚生労働省によると、節度ある適度な飲酒とは、純アルコールで1日20g程度、女性ではその半分程度となっています。これは、飲酒による死亡リスクが最も低くなることから設定された量です。

 

主なお酒の目安量(純アルコール20g相当)

・ビール:中瓶1本 (500ml)

・日本酒:1合(180ml)

・ワイン:2杯(240ml)

・焼酎(35度):半合(90ml)

・ウィスキー:ダブル1杯(60ml)

・チューハイ(7%):(350ml)

・ハイボール(7%):(350ml)

 

飲酒量についてのイラスト

 

上記の飲酒量を超えると、生活習慣病や死亡リスクが高くなります。ただ、アルコールの分解能力は人によって異なるため、少量の飲酒でも顔が赤くなる人では、より少ない量が適当とされます。

 

【アルコール血中濃度と酔いの状態】

①爽快期

[血中濃度:0.02%~0.04%]

酒量

・日本酒(~1合)

・ビール中瓶(~1本)

・ウィスキー・シングル(~2杯)

[酔いの状態]

・爽やかな気分になる

・皮膚が赤くなる

・陽気になる

・判断力が少し鈍る

 

②ほろ酔い期

[血中濃度:0.05%~0.10%]

酒量

・日本酒(1~2合)

・ビール中瓶(1~2本)

・ウィスキー・シングル(3杯)

[酔いの状態]

・ほろ酔い気分になる

・抑制がとれる(理性が失われる)

・体温上昇

・脈拍が速くなる

 

③酩酊初期

[血中濃度:0.11%~0.15%]

酒量

・日本酒(3合)

・ビール中瓶(3本)

・ウィスキー・ダブル(3杯)

[酔いの状態]

・気が大きくなる

・大声でがなりたてる

・怒りっぽくなる

・立てばふらつく

酔っぱらっている中年男性のイラスト

 

この後にも酩酊期・泥酔期・昏睡期とさらに3段階あります。4段階目の酩酊気になると、特徴として「千鳥足になる」「何度も同じことをしゃべる」「呼吸が速くなる」「吐き気・おう吐が起こる」などの症状があります。会社の同僚や仲間と飲みに行く時は、危なそうな症状の人がいた場合、今がどの段階なのか把握して、全員が無事に帰れるように気を付けましょう。

 

【アルコールを分解するに必要な時間とは】

お酒の分解は肝臓で行われます。肝臓は、いわばアルコール分解処理工場の役目をしてくれています。その分解スピードには個人差がありますが、一般的に体重約60キロ~70キロの人で純アルコールを分解する能力は1時間におよそ5g~7g程度と言われています。つまり、ビール500ml1缶のアルコールを分解するには、約3~4時間かかる計算になります。

 

また、体質的にお酒が弱い人や女性は、分解にさらに多くの時間がかかります。ちなみに、酒気帯び運転は呼気1リットル中アルコール濃度が0.15以上で該当します。つまり、ビール500mlを2本飲んだ場合、翌朝運転する方は、最終飲酒してから最低でも8時間以上経過していないとアルコールチェッカーに引っかかる可能性があります。

 

お酒の勧めを断る男性のイラスト

 

【間違えやすい飲酒の知識】

①汗をかくとアルコールが抜ける:間違い

汗をかいてもアルコールは抜けません。酔った状態で行う運動は、心臓に過度な負担がかかるとともに、発汗作用によって脱水症状になるため逆効果となります。また、酔ったままの入浴やサウナも危険な行為です。血圧が上昇して脳卒中や心臓発作の危険性があるほか、湯船の中で寝てしまい、溺死するリスクがあります。

 

②嘔吐でアルコールが抜ける:間違い

飲酒による嘔吐の直後には少なからず開放感があるかもしれませんが、嘔吐によって体外に排出されるアルコールは微々たる量であり、ほとんどのアルコールは血中に溶けて体内に吸収されます。嘔吐によってアルコールを抜くことは難しいでしょう。

 

③寝ることによってアルコールが抜ける:間違い

実は、アルコールを抜くために睡眠を取ることは間違いです。飲酒状態の睡眠はアルコール分解速度を和らげ、酔いから覚める速度を遅らせてしまう事がわかっています。この事実は、国内の久里浜医療センターと札幌医科大学が行った共同研究で証明されています。4時間睡眠をとったグループととらなかったグループでは、睡眠をとったグループのほうのアルコール濃度が約2倍検出されたという結果が出ています。たくさん飲んだので長く寝ればいいかと思った方もいらっしゃるかと思いますが、長く寝たのにアルコールが抜けていないということもあるので注意が必要です。睡眠中の人間の身体は、肝臓やその他の臓器の働き、全身を巡る血流が低下しています。アルコールは主に肝臓で分解されるため、睡眠により活動が鈍った体内では、自ずとアルコールの分解速度も低下してしまうのです。

 

④水をたくさん飲めばアルコール濃度が下がる:間違い

飲酒後に水をたくさん飲んでもアルコールの分解速度は早まりませんし、血中アルコール濃度が下がることもありません。アルコールは主に肝臓で分解されるということを、改めて忘れないようにしましょう。尿から排出されるアルコールも少量なので、排尿したからといって身体からアルコールがしっかり抜けるというわけではありません。

 

ただ、お酒を飲んでいるときに同等の水を飲むことは飲酒量をセーブする効果があります。また、脱水症状を防ぐという目的もあります。二日酔いの根本的な原因はお酒の飲み過ぎのことが多いので、飲み過ぎ防止のためにお水を飲むようにしましょう。水を飲むなんてかっこ悪いと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、酔って周りに迷惑をかけるほうがかっこ悪いので、しっかりと水を飲むようにしましょう。

 

【まとめ】

飲み過ぎると自分自身にも周りの人にもデメリットになるのがお酒ですが、一方では病気の予防としてメリットもあります。適切な量を守れば飲酒は血中のHDLコレステロールを増加させる効果があります。HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロールで、動脈硬化を抑制する働きをしてくれます。心臓病や脳梗塞、糖尿病に対しては、全く飲まないよりも少し飲酒した方が発症リスクをさげることが知られています。巷での間違ったお酒の知識が色々と解明されてきましたが、昔も今も今後もぶれずに変わらないものとしては、「酒は飲んでも飲まれるな」「飲んだら乗るな」この二つを守って楽しい飲み会で終われるように皆さん気をつけてください。

 

横山医院 理学療法士 高橋 洋平

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