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本来の「ウォーキング」は、日常生活の中で「歩く」「散歩する」とは異なります。多くは「健康のため」という目的があり、特に必要な道具はなく、いつでもどこでも始められる運動です。
・体力及び持久力の向上:足腰の筋肉以外に、腕を大きく振ることで体幹の筋肉も鍛えられます。
・高血圧の改善:ウォーキングにより、血中を下げるタウリンやプロスタグランティンEという物質が増加します。
・心肺機能の強化:ウォーキングの習慣化が、心血管疾患のリスクを低下させることが明らかになっています。
・骨の強化:ウォーキングによる骨への刺激、さらに太陽を浴びることでビタミンDが作られ、いずれもカルシウムの吸収を促進します。
・肥満の解消:ウォーキングなどの有酸素運動は体脂肪をエネルギー源とするため、体脂肪の減少に役立ちます。
・脂質異常症・動脈硬化の改善:ウォーキングは、血中の中性脂肪を分解する酵素を活性化させると言われています。
・肝機能の改善:ウォーキングをしている人ほどGOTやGPTが低値であることがわかっています。
・糖尿病の改善:ウォーキングは血中のブドウ糖を利用し、血糖値を下げる効果があります。
・腰痛改善:正しいフォームで行うことで、筋肉のバランスが整いやすくなります。
・リラックス効果:ウォーキングを一定時間続けることで、リラックス効果のあるセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。
・全身持久力及び筋力の維持・向上
・サルコペニアの予防
・コミュニケーション機会の増加による認知症の予防
米ボストン大学医学部教授Wendy氏らの研究結果によれば、「孤独感は、認知症あるいはアルツハイマー型認知症のリスクを約2倍高める」と言われています。
・フレイルの予防:加齢により心身が衰えた状態に対しての予防効果があります。
・ロコモティブシンドロームの予防:運動器の障害のために移動機能の低下した状態に対しての予防効果があります。
・サルコペニアの予防:サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少、筋力低下、身体機能低下の状態で、フレイルの大きな要因になります。サルコペニア予防には、女性1日7000歩(急ぎ足15分)、男性8000歩(急ぎ足20分)という報告があります。ただ、高齢者はすり足になりがちで、下肢の筋肉にかかる負荷が減少し、せっかく歩いても、筋肉を鍛える効果が乏しくなります。そこで、「ウォーキング・散歩」に加えて他の運動を追加する必要があります。
[ウォーキング・散歩]
週150分以上 1日あたり20分程度
[1日の歩数]
65歳~74歳 7000歩以上
75歳以上 5000歩以上
[1日の目安]
脂肪燃焼のためには、1日20分以上の運動が効率的です。20分程度まで身体は糖をエネルギー源としまが、20分を超えてくるとエネルギー源が脂肪に変化します。継続する際には、1日30分程度がおすすめです。
・筋力増強運動:週2回以上 適切な運動強度については専門家に相談しましょう。
・体操やストレッチ:週2回以上 適切な方法については専門家に相談しましょう。
健康のためのウォーキングは、普段の歩きや散歩とは異なります。何より、フォームを意識して歩くことが大切です。
・視線は前を向き、背筋を伸ばしてお腹に力を入れ、肘を軽く曲げて腕を振る。
・足部は踵から地面に着き、つま先で地面を蹴る。この時、足の指で地面を捉えるように意識する。
・自分の体調や体力に合わせて実施しましょう。
・体調がすぐれないときや、天候の悪いときは無理せず中止しましょう。
・あまり距離や歩数にこだわりすぎないようにしましょう。
・ウォーキングの前後で準備運動やストレッチを行いましょう。
・適度な水分補給を心がけましょう。
運動としてウォーキングを始めようとする前に、医学的な検査で問題がないか、体力測定などで問題がないかなど、「身体が運動に耐えられるか」を確認することをおすすめいたします。屋外を歩くときは思わぬ事故やけがに見舞われないように、車両の少ない道や時間帯で歩くようにしましょう。また、服装(靴も含めて)選びにも気を付けましょう。
横山医院 理学療法士 横井 宣恵