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腸活とは、腸内細菌のバランスを整えて健康な身体の状態を保つための活動を促すことを指します。では、なぜ腸内細菌のバランスを良い状態に保つことが大切なのでしょうか。それは、腸内細菌が脳の活動や免疫機能など、身体の重要な働きに大きく関係しているからです。ここでは、腸内細菌が身体にもたらす働きと、腸内細菌を良い状態に保つためのポイントについてお話させていただきたいと思います。
まず初めに、セロトニンについてお話させていただきますが、セロトニンは「幸せモルモン」とも呼ばれていて精神を安定させる働きがあります。このホルモンが不足してしまうと、うつ病や不安障害を引き起こしてしまうリスクが高くなります。このセロトニンの材料となるのが「トリプトファン」という必須アミノ酸の一種で、他にも葉酸やナイアシン、鉄といったものが必要になります。これらの材料をもとに、腸内でセロトニンが作られますが、その際に腸内細菌がバランス良く存在しないとセロトニンの合成ができなくなり、うつ状態になったりイライラしたりしてしまいます。
腸は免疫システムの要とも言われるほど重要な役割を持っています。主に異物の排除、傷の修復などを行っています。そして、この免疫システムとストレスは密接な関係があり、ストレスを感じると胃痛や腹痛になってしまった経験があるという方も少なくないかと思います。このように、不安やストレスに対して腸などの消化器は反応しやすいという特徴があります。また、この免疫システムは種の存続させるために、感染症にかかった人を社会的活動から遠ざける効果があるとの学説もあります。
・便通の改善
腸内環境を改善させることで便通がスムーズになり、便秘の解消が期待できます。
・免疫力の向上
腸内細菌のバランスを整えることで、免疫力の向上に期待ができます。
・睡眠の質の向上
腸内環境が良いと「メラトニン」と呼ばれる睡眠ホルモンの分泌量も増えるため、睡眠の質の向上にも期待ができます。
・精神安定作用
セロトニンの分泌量が増えれば、不安やストレスが軽減するなど、精神的に落ち着きやすくなります。また、腸はその他の様々な神経伝達物質の生成に関わっていて、生きる活力の向上にもつながってきます。
・食事
ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌などの発酵食品、海藻や豆類あるいは野菜やきのこなどから食物繊維を豊富にとることで、腸内の善玉菌を増やす効果が期待できます。また、過度な糖質の摂取は腸内細菌のバランスを崩す原因になるので、糖質の摂りすぎには注意しましょう。
・睡眠
睡眠のリズムが崩れてしまうと、腸の活動にも影響を与えることが分かっています。腸は自律神経からの指令をうけて活動しているので、睡眠の質が落ちてしまうと自律神経のバランスも崩れやすくなり、それが腸内細菌の活動にも影響を与えてしまいます。入浴は40℃以下、就寝前にはなるべく光を浴びない、朝日をしっかり浴びるなどの生活習慣を身につけるようにしましょう。
・ストレスコントロール
極度のストレスや慢性的なストレスは腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを崩してしまうという研究報告があります。適度なストレスは人が生きていく上で必要なものですが、無駄なストレスはなるべく避けるようにしましょう。また、意識して笑うようにしたり物事をポジティブに考えたりすることも効果的です。
腸とは、ただ単に食べ物を消化する器官ではなく、免疫や神経伝達物質の生成などにも関与しています。また、腸は脳とも密接な関係があり、脳は様々な情報に騙されやすいですが、腸は進化の過程で脳よりも先にできた器官であるため、生存に直結した機能も備えています。今回は腸活ということでお話をさせていただきましたが、規則正しい生活習慣が腸内細菌のバランスを保つためのポイントになってきます。皆様もできる範囲内で生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
横山医院 理学療法士 藤平 真二