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自動車の追突事故などにより首に衝撃を受けたときに生じる軟部組織の損傷のことを、頸椎捻挫といいます。別名では「むち打ち」などと呼ばれることもあり、後方から勢いよく衝突され、首がしなるように無理な動きを強いられて頚部にストレスがかかることで生じます。事故以外で発症するケースとしては、スポーツによるものが考えられます。例えばラグビーで激しく衝突したり、柔道で投げられたときに受け身を取り損ねたりすると発症のリスクがあります。
主な症状としては、首の痛みや可動域制限があり、場合によっては神経根を圧迫して神経症状を呈することもあります。また、自律神経の働きに何らかの影響が生じている場合は頭痛や目まい、耳鳴りなどの不定愁訴があるケースもあります。なかなか改善しない神経症状に対しては、ブロック注射により痛みの伝達の遮断を図ることで症状に改善がみられることもあります。症状の経過はさまざまで、数週間で改善するものから数カ月あるいは数年経っても首の症状が気になるというケースもあり、画像所見からでは判断しきれない症状も多くみられます。
また、事故後の予後が悪いケースとして「脳脊髄液減少症」という疾患があります。これは、事故が原因で脳脊髄液が漏出してしまい、脳脊髄液が減少してしまうことでめまいや頭痛、耳鳴り、倦怠感、集中力の低下などの症状を呈します。通常の事故後の症状でもこれらの症状が起こることがあるため判断は難しいですが、辛い長く続くようであればMRI検査など頭部の詳しい検査をしてみた方が良いかもしれません。
治療としては、事故直後はまず安静を基本とします。そして、痛みに応じて消炎鎮痛薬などの薬物療法を行い、なかなか症状が改善しないようであれば必要に応じて首の牽引による除圧や温熱療法による血流改善、運動療法などのリハビリテーションなどを行います。首に痛みがあると首を安定させるための筋肉が働きにくくなり、頚部の安定化作用に低下がみられます。そのため、運動療法では低下してしまった筋力の改善や姿勢のチェック、過度に緊張してしまっている筋膜や筋肉の緊張緩和などを図ることで、痛みの緩和を図っていきます。筋力トレーニングやストレッチを独自で無理に行ってしまうと、余計に痛みを悪化させてしまうことになるかもしれません。首には数多くの重要な神経が通っているので、必ず専門家の指導のもとで自宅での運動メニューを考えてもらうようにしましょう。