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前距腓靭帯とは、足関節の外側にある靭帯の1つです。足関節の外側には前距腓靭帯や踵腓靭帯、後距腓靭帯といった靭帯がありますが、これらの中で前距腓靭帯が最も薄くて弱く、受傷頻度が多い靭帯です。転倒やスポーツなどで受傷しやすい靭帯としても知られていて、この靭帯は足関節の底屈・内反という動きを制限する働きがあるのですが、過度な足関節の底屈・内反を強いられることで損傷が生じます。この前距腓靭帯損傷はスポーツをしている方で多く、バスケットボールなどではジャンプして着地した際に他人の足の上に乗ってしまい受傷するケースが多くみられます。また、サッカーやラグビーなどでバランスを崩したり切り返しをしたりした際に受傷してしまうこともあり、高齢者の方では階段を踏み外したときにバランスを崩して受傷してしまうこともあります。
受傷直後の対処法としては、RICE(Rest;安静、Icing;冷却、Compression;圧迫、Elevation;挙上)を行います。また、損傷の程度はⅠ~Ⅲ度に分類され、重症度によって治療方法は変わってきます。軽度であれば弾性包帯やテーピング、もしくは簡易的なサポーターによる固定の場合もあれば、重度ではギプスによる固定を3~4週間行い、おおむね6~8週程度でのスポーツ復帰を目標にします。完全に靭帯が断裂している場合や慢性的な足関節の不安定性を生じている場合には、靭帯再建術という手術を行うこともあります。
ギプス固定後のリハビリテーションでは、固定や痛みにより足関節の可動域や筋力の低下が生じている可能性が高いため、関節可動域訓練や筋力トレーニングなどを行います。また、痛みや可動域・筋力低下のために立ち方や歩き方のバランスが崩れてしまっている場合もありますので、姿勢や歩き方のチェックなども行っていきます。前距腓靭帯は一度緩んでしまうと正常な緊張状態に戻るのは難しくなってしまいます。そのため、何度も捻挫を繰り返してしまう方も少なくありません。
そのような事態にならないためにも、足関節を安定させるための運動を行い、捻挫の再発予防に努めていくことが大切になります。前距腓靭帯損傷に対して足関節の安定性を高めるには、前距腓靭帯の代わりとなる筋の働きを高めたり、足関節のアーチを形成する筋の活動性を高めたりすることで、足部の安定性や剛性を高めることができます。また、運動を行う前に準備運動としてジャンプ動作やサイドステップなどを行い、足関節周囲の筋の活動性を高めておくことも前距腓靭帯損傷を予防するためには大切です。