医院ブログ
Blog
Blog
腸脛靭帯炎は長距離を走る選手に多くみられます。ランニングは地面から繰り返しの反発を受けてしまうため、特定の部位にストレスが蓄積しやすいとされています。また、地面の硬さからも影響を受けることがわかっていて、コンクリートなどの硬い地面の上では靭帯などの軟部組織へのストレスが大きくなります。
長い距離を走ることで腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との間で摩擦が生じ、腸脛靭帯あるいは脂肪組織に炎症が起こります。基本的には「使いすぎ」により起こる障害ですが、関節の硬さや走るときの姿勢、筋力不足などが総合的に影響して、炎症が起こりやすい状態で運動を続けていることが原因になっていると考えられます。
ランニング中あるいはランニング後に膝の外側で痛みを感じるようになります。鋭い痛みを訴えることが多く、痛みが強い場合には長距離歩行や階段の上り下りでも痛みを訴えることがあります。
運動時に生じる膝の外側の痛みや圧痛などの訴えをもとに診断します。また、徒手的な検査として次のようなものがあります。
・Grasping test:膝の外側で腸脛靭帯を押さえながら、膝を90°曲げた状態から膝を伸ばしたときに痛みが誘発される
・Ober´s test:患側の足を上にして、足をやや上に持ち上げた状態から離したときに、腸脛靭帯の短縮があるとスムーズに患側の足が下がってこない
保存療法での治療が基本となります。痛みが落ち着くまでは安静を基本として、痛みが強いときには消炎鎮痛剤の服用や湿布を貼るなどして炎症を落ち着かせます。また、電気療法や超音波療法などとともに運動療法を行うことで疼痛の緩和や炎症の再発を予防します。痛みが引いてきたら徐々にランニングを再開させていきます。
腸脛靭帯のストレッチや走っているときの姿勢の矯正などを行います。ランニング時の姿勢の崩れは、関節の硬さや下肢全体の筋力低下や筋バランスの不良などが原因で生じます。よくある姿勢の崩れ方としては、走っているときにつま先が過度に外側を向いていたり、膝が内側にはいってしまったりなどが多くみられます。それらの問題点を解決するために、股関節や体幹の関節可動域訓練や筋力トレーニング、バランス訓練などを行います。
また、インソールの使用が有効なこともあり、足部の形状を整えることで局所にかかるストレスが軽減できます。さらに、足部を調整することは身体全体のバランスを整えることにつながるため、パフォーマンスの向上にも期待できます。インソールにご興味があるという方は、当院の医師までご相談ください。