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日本では人口の高齢化に伴う認知症の有病率の増加が問題となっていますが、今後も高齢化が進むことでさらに認知症患者は増加してくると考えられます。日本における2021年時点での高齢者の割合は約29%で、これは世界的にみても群を抜いて高い割合となっています。また、2020年時点での高齢者の認知症の有病率は16.7%で、人数でいえば約600万人、約6人に1人が認知症の有病者ということになります。
そして、認知症は日本国内だけの問題ではなく、近年は世界的な問題として捉えられています。世界保健機構(WHO)の報告によると、世界の認知症の有病者数は2030年までに6570万人、2050年までに1億1540万人になるのではないかとの試算が出ています。
認知症とは、脳の病変や加齢による退行変性あるいは血流の低下などにより知的能力の低下、記憶力の低下や人格の変化を生じたものです。
→認知症の中で最も多く、高齢になるほど発症率が高くなります。
→脳の動脈硬化が根本的な原因として脳梗塞あるいは脳出血となり、その後に認知症を生じるものです。
→脳の神経細胞が徐々に減少することにより生じるもので、アルツハイマー型認知症に次いで多いタイプです。
アルツハイマー型認知症とは、大脳の神経細胞が破壊されていくことで大脳の萎縮が生じて、認知症と人格変化が進行していくタイプの認知症です。認知症の中でこのアルツハイマー型が最も多く、高齢者の約5%に発症していると推定されています。そのため、ここではアルツハイマー型認知症についてもう少し詳しくお話させていただきたいと思います。
原因
ベータアミロイドという毒性のある異常なたんぱく質が脳内に蓄積していくことで神経細胞が破壊されます。また、家族性に発症するアルツハイマーの中には原因となる遺伝子も発見されています。しかし、なぜベータアミロイドが蓄積しやすくなるのかといった根本的な原因の完全な解明はまだされていません。
症状
1.初期症状
・物忘れが目立ち、電話で話した内容などをすぐ忘れるようになる
・家事ができなくなったり、料理の味がおかしくなったりする
・ガスの火をつけっぱなしにする
・同じことを何回も繰り返し言う
2.中期症状
・時間や場所がわからなくなる見当識障害を起こす
・道がわからなくなり迷子になる
・言葉の理解や表現が難しくなる
3.末期症状
・家族の顔や名前がわからなくなる
・トイレや着替えができなくなり、日常生活全般で介護が必要になる
・最終的には寝たきりになる
認知症の発症には、普段の生活習慣が関係していると言われています。特に高血圧や糖尿病などの生活習慣病は認知症との関連も強く、脳の血流低下や機能低下を引き起こすリスクが高くなってしまいます。食事面ではビタミンやミネラルをバランス良く摂り、魚を食べてDHAやEPAを摂取することも大切です。
また、興味のあることに熱中したり集中したりすることは脳にとっても良いことで、外出するための目的にもなります。反対に、何もせずに家で閉じこもっていると人と会話をする機会も減りますし、脳が受ける刺激も少なくなりますので、脳の血流低下や機能低下が生じやすくなります。特に一人暮らしの方では「今日は誰とも一言もしゃべらなかった」という方もいらっしゃるかと思います。そのような状態が慢性化してしまうと、認知症になるリスクはどんどん高くなってしまいます。
そして、運動も以前から認知症のリスクを下げる働きがあると言われています。運動は脳のアセチルコリンという神経伝達物質を増やす働きがあるとされていて、そのアセチルコリンは脳の血流を改善させる働きがあるとされています。つまり、アセチルコリンは脳の状態を維持していくために大切な役割をしているのです。そのため、認知症を予防するためには適度な運動を継続して行うようにしましょう。
また、2022年9月21日よりNTTコミュニケーションズ株式会社は、AIが認知症の疑いがあるかどうかを電話で測定するサービスを始めました。このサービスは無料で、短時間で認知症かどうかの簡易的な判断をしてくれるとのことで、初期の認知症を判断するためのツールとして期待されています。こういったサービスを利用してご自身の認知機能を確認しておくことも認知症予防の1つになるのではないかと思われます。このサービスは2023年3月末までは無料で利用できるとのことです。
脳の健康フリーチェックダイヤル 0120-468-354
横山医院 理学療法士 藤平 真二