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もともとラジオ体操は、昭和3年に昭和天皇ご即位の大礼を記念して「国民保健体操」という名称で「国民の体力向上と健康の保持増進を図る目的」として始まったそうです。その後に何度か改訂され、昭和26年に今のラジオ体操になりました。
多くの方が、子供の頃に夏休みになると毎朝近くの公園に行ってラジオ体操をされていたかと思います。しかし、最近は少子化や子どもの屋外活動の減少などもあり、早朝のラジオ体操の参加者は少なくなっているという寂しい話もあります。一方、平成11年には国連の国際高齢者年にちなんで「みんなの体操」という、年齢、性別、障害の有無に関わりなく体操ができることを意識して座位の体操が新たに作られるなど、時代に合わせた変化もあるようです。
ラジオ体操は第一、第二ともに13種類の動きがあります。内容につきましては皆様ご存じかと思いますので、この場では割愛させていただきます。興味のある方は、「ラジオ体操」で動画等を検索してご覧になっていただければと思います。ラジオ体操をすでにしていらっしゃる方やこれから始めようという方に、心にとめておいていただきたいことを以下に記しましたので、是非ご一読ください。
ラジオ体操には様々な健康効果があります。平成25年度簡易保険加入者協会委託調査「ラジオ体操の実施効果に関する調査研究」で以下のことが明らかになっています。ラジオ体操を3年間以上(週 5 日以上)実施している、55歳以上の方を対象にして調査を行っています。
・体内年齢
体内の若々しさを示す指標で、基礎代謝量や筋肉量などから算出します。ラジオ体操をされている方は、体内年齢が実年齢よりも10~20歳ほど若いという結果が出ています。
・血管年齢
血管の老化度を表す指標で、動脈硬化の進み具合を示します。ラジオ体操をされている方のほうが、血管が若々しく、脳卒中や心臓病の予防になるそうです。
・呼吸機能
主に、肺の機能を示しています。一般的に、加齢に伴い肺機能は低下していきます。その要因として、猫背などの姿勢の崩れによって胸の動きが妨げられたり、呼吸筋の筋力が低下したりすることがあげられます。ラジオ体操の動作には、姿勢や筋肉 の柔軟性、関節可動域の加齢に伴う変化、低下を抑制するなどの内容の動きが含まれていて、「長年ラジオ体操を続けることで、これらが維持もしくは低下が抑制されていると推測される」とのことです。
・骨密度
骨が丈夫で健康かどうかの指標です。骨密度は、運動で骨に適度な「力学的ストレス」を与えることにより高められることがよく知られています。ラジオ体操の中の、飛び跳ねる動作が骨に適度な刺激を与えていると考えられます。
・体力年齢
歩行能力、柔軟性、筋力などから総合的に算出されます。ラジオ体操をされている方は、全体的に男性で実年齢より体力年齢が 10 歳前後、女性で 15 歳前後若い傾向がみられ、体力年齢に対して有効性があると言えます。
運動不足解消のためにラジオ体操を実施する場合は、ラジオ体操第一・第二の両方を実施すると良いでしょう。ラジオ体操第一は、いつでもだれでも取り組める運動強度が高すぎない体操です。ラジオ体操第二は若い世代向けに作られており、運動強度がやや高くなっています。
ラジオ体操第一の運動強度は4メッツです。これは、ゆっくりと階段を昇ったりするのと同程度の強度です。ラジオ体操第二の運動強度は4.5メッツです。テニス(ダブルスの試合)や水中歩行(中等度)と同等の強度です。ラジオ体操を座って行なう場合の運動強度は2.8メッツです。ストレッチは2.3メッツ、ヨガは2.5メッツです。
ラジオ体操を行う際には、以下の点に注意点して行ってください。
・全身を大きく動かす
筋肉をしっかり伸ばすためです。筋肉を伸ばすときは、気持ちが良いくらいの範囲で行ってください。関節の可動域によっては難しいこともあるかと思いますので、くれぐれも無理のない範囲で実施してください。
・一つの動きをしっかり確実に行う
体操ごとに使う筋肉や関節が異なるので、それぞれ丁寧に行いましょう。全身運動なので、日常生活の中であまり動かさない筋肉を動かせます。ただし、急に動かすとかえって筋肉や他の組織にも負担をかけることになりかねないので、くれぐれも無理のない範囲で実施してください。ラジオ体操は基本的に立位で行いますが、立位のバランスに不安のある方は座って実施しましょう。
・毎日継続する
ラジオ体操第一・第二ともそれぞれ短時間で行えるので、運動の効果を得るために毎日のすき間時間を有功活用しましょう。
「NPO法人 全国ラジオ体操連盟」という団体があるのをご存じでしょうか。ホームページをご覧になっていただいて、「地域のラジオ体操会」に参加するのも継続するためのひとつの方法かと思います。そのほか、イベント情報も掲載されているので、是非ご覧になってみてください。
横山医院 理学療法士 横井 宣恵