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寒い時期は新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなどが蔓延していましたが、最近は下火になりだいぶ落ちついてきたようです。ようやく春の気配も整いつつあるようで、気温も徐々に高くなってきました。この時期は入学式や入園式、転居、新就職など、様々な理由で新しい環境に移ることも多いかと思います。今回は、春先にかかりやすい病気についての簡単な説明や対策などについて説明できたらと思います。
春先は、主に麻疹(はしか)・風疹・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)が流行しやすいと言われています。子供の病気だと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はここ5-10年前より大人の発症も増えてきているのが報告されているのをご存知でしょうか。大人になってから感染すると重症化しやすいと言われており、注意が必要です。
麻疹は麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症であり、空気感染、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強いとされています。麻疹に対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10~12日間の潜伏期を経て発症し、免疫を担うリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もあると言われています。
合併症では麻疹肺炎・麻疹脳炎があり、麻疹での死亡理由では二大死亡要因といわれているようです。さらに、罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎などの重篤な合併症もあるようです。
麻疹の症状としは、発熱、鼻汁、くしゃみといった風邪とよく似た症状からはじまります。そして、口の中に小さな白い斑点(コプリック斑)が現れ、数日後体全体に発疹が出てきます。一度かかると免疫がつくので、大人になるまで感染しにくい病気と言われています。本来は子供がかかりやすかった病気ですが、近年では成人の感染者が増加しています。
風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。症状は、通常耳の後ろのリンパ節が腫れ、顔や耳の後ろに発疹が現れて身体にも広がります。発熱することもあり、発疹が消えていく頃にかゆくなります。大人になってからかかると発熱や発疹が出ている期間が長く、関節痛がひどくなります。不顕性感染から、重篤な合併症併発まで幅広く、臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患です。
風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性があると言われています。男女ともワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要です。
流行性耳下腺炎は2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症 です。臨床症状では、耳、あごの下、頬の後ろあたりに腫れの症状が出ます。発熱することが多く、腫れの痛みが強く出ることもあるようです。感染力は弱めで一度かかると後はかかりにくいと言われています。
通常1~2 週間で軽快すると言われており、最も多い合併症に髄膜炎があります。その他には髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合があるようです。
3つとも対症療法が主となり、熱が出れば解熱剤など服薬の対応が中心です。一番効果があると言われているのはワクチン接種で、各疾患とも専用をワクチンが子供の時期より接種することです。他の予防としてはコロナウイルスやインフルエンザウイルスの時期と同様に手洗いやうがいを徹底し、栄養と睡眠をしっかりとることが推奨されています。
春になってどんどん気温が上昇してくると、気温の変化についていけずに体調を崩す人が増えてきます。近年では、年々増すごとに寒暖差が激しくなっており、体調を壊す方をよく見かけるようになりました。身体を壊す理由としては、極端な寒暖差により予想以上に体力を使うことで免疫力が低下することが要因の1つと言われています。そのため、体調管理をしっかり行い、すっきりした清々しい気持ちで新年度を迎えられるようにしましょう。
横山医院 理学療法士 小林 将之