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上腕骨頚部骨折

【概要】

上腕骨頸部骨折は、上腕骨の近位部で起こる骨折の総称です。同部位を骨折すると、肩関節周囲の痛みや肩関節の可動域制限が起こります。折れている部位、転位の有無、転位している骨片の数、脱臼の有無により16のタイプに分類されます。骨折のタイプにより、それぞれ最適な治療方針が定められます。

 

上腕骨頚部骨折のイラスト

 

上腕骨頸部骨折の80%はズレが少ない非転位型骨折で、多くの場合は保存療法が選択されます。残りの20%は一定以上のズレが存在している転位型骨折で、骨のズレが生じている部分の数に応じて2parts,3parts,4parts骨折に分類されます。ズレが大きいほど重傷で自然には治りにくいと考えられるため、手術療法が選択されることになります。特に、4parts骨折においては血流が断たれてしまうので、骨折部の癒合が起こらず骨壊死が生じるケースがあるため肩関節の機能に障害が残る可能性があります。

 

【原因】

上腕骨頸部骨折が起こる要因は、若い方ではスポーツや事故が多く、高齢者では転倒が最も多くなっています。高齢者においては転倒が直接的な原因ですが、それ以前に骨粗鬆症による骨強度の低下が大きく関与していることがわかっています。また、この骨折は女性に多くみられ、男性の発生率は女性の1/2以下程度であると言われています。

 

自転車と衝突して転倒してしまった高齢女性のイラスト

 

【症状】

骨折直後から、肩から腕にかけて強い痛みがあり、腕を動かすことができなくなります。また、場合によっては神経障害を引き起こすことで感覚障害が生じるケースもあります。

 

【診断】

主にレントゲンでの診断になりますが、転位や変形の程度を判断するためにはCT検査が有効です。

 

【治療】

骨折のタイプにより、保存療法か手術療法が選択されます。転位がなく、骨癒合が期待できるタイプであれば保存療法が選択されます。三角布などで上腕骨にかかる負荷を軽減し、固定期間中でも手指や手関節は動かしても問題ないため、機能低下を予防するために手指の運動を積極的に行います。

 

手術であればプレート固定や髄内釘が一般的で、骨頭の粉砕を伴う場合や脱臼を併発している場合では人工骨頭置換術や人工関節置換術などが選択されます。

 

また、骨折のタイプ以外では個人の年齢や身体状態も治療方法の選択に影響します。骨密度を保つには栄養管理が重要で、骨形成に関与するカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの摂取が推奨されています。また、その前提としてカロリーや栄養バランスが整った食事の摂取が必要です。骨密度の予防には現状を把握して、定期的に骨密度検査を受けて必要があれば早期に治療を受けることが重要です。

 

【リハビリテーション】

保存療法と手術療法どちらの場合でもリハビリテーションを行うことが一般的で、時期に合わせて理学療法士や作業療法士が関節可動域訓練、筋力強化訓練などのリハビリテーションを行うことで機能回復を目指します。また、適度な運動は骨密度を高める効果もあり、ウォーキングやジョギング等の軽負荷の有酸素運動が推奨されています。

 

リハビリで肩を挙げている男性のイラスト

 

そして、再骨折しないためには転倒予防が大切です。転倒を予防するためには、上肢だけでなく下肢・体幹の筋力強化や姿勢改善を行うことなどが大切になってきます。また、身体機能を維持する、日常の導線から障害物をなくす、滑りやすいところをなくすなどの環境整備も重要です。

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