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マイコプラズマ肺炎の主な症状や診断基準及び治療薬について

【マイコプラズマ肺炎とは】

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ( Mycoplasma pneumoniae )」という細菌に感染することによって発症する呼吸器感染症です。5-14歳位の子供や若年成人に多くみられますが、それ以外の方でも感染します。潜伏期間が2-4週間と言われており、本来は秋から冬にかけて感染しやすい病気です。

咳をしている人の画像

【マイコプラズマ肺炎の症状】

主に1週間以上も続く咳が特徴です。初期症状は発熱・全身倦怠感・頭痛であり、初発症状出現後、3-5日後に乾いた咳が始まると言われています。咳は最初は軽めですが、徐々に強くなってくるのも特徴です。咽頭痛・消化器症状・胸痛・呼吸困難などの症状は、約25%の方が出ると言われています。急性では約40%で喘鳴が認められているようです。合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群などの報告があります。

 

【マイコプラズマ肺炎の診断基準】

診断が非常に難しいと言われていますが、主に①迅速検査②レントゲン③血液検査で判断します。①迅速検査は上気道で測る検査キットになります。マイコプラズマ肺炎は気管などの下気道で感染する病気の為、結果が陰性だからと言って陰性と言い切れないところがあります。②レントゲンでは「すりガラス状陰影」が特徴で、重症度を確認するのに有用とされています。しかし、様々な陰影画像も混在する事が多いようです。③血液検査では白血球の上昇値、赤沈は亢進、CRPは中等度、AST・ALT一過性の亢進などの評価をします。しかし、症状が出た時と治った時の値を比較しないと判断が難しい為、現実的ではないと言われています。現状では、流行の様子と症状などを見ながら必要に応じて検査を行って、総合的に診断されているようです。

 

【マイコプラズマ肺炎の治療薬】

細菌には細菌壁というものがあります。マイコプラズマ肺炎の病原菌は細胞壁を持たない為、一般的に肺炎で処方される抗生物質(ペニシリン・セフェム系:細胞合成阻害の抗菌薬)は効かないと言われています。マイコプラズマ肺炎に効く抗生物質は、①マクロライド系(クラリス・ジスロマックなど)②テトラサイクリン系(ミノマイシンなど)③ニューキノロン系(ジェニナック、ラスビックなど)が良いとされています。また、重症でなければ抗生物質を使用しなくて治る病気とも言われているので、しっかりと食事と睡眠をとって回復に努めることが大事とされています。

 

【マイコプラズマ肺炎の発生状況】

2014-2023年をみると、最も報告数が少なかった報告年は2022年(395件)で、最も報告数が多かった報告年は2016年(19,721件)でした。新型コロナウイルス感染症流行開始後は流行状況に変化が認められ、2020年5月以降は報告数が減少しましたが、直近の2024年は、2020-2023年と比較して報告数が増加しているようです。海外では、中国・欧州で2023年秋ごろより増加傾向にあると言われています。

 

【マイコプラズマ肺炎の予防と対策】

特異的な対策方法はないとされています。飛沫感染・接触感染で感染すると言われている為、手洗いやうがいなど基本的な感染対策を行います。

手洗いうがいをする女の子の画像

【おわりに】

抗生物質を使用しなくても良くなると言われていますが、咳が悪化すると日常生活に支障をきたし、重度肺炎や肺に水が溜まる等の報告も少なくありません。咳だけだからといって決して無理をせずに、1週間以上続くようであれば、近隣の医者に受診する事を推奨します。

 

・参照資料

  • 国立感染症研究所
  • 厚労省ホームページ
  • 考える理学療法 評価から治療手技の選択「内部障害編」 編集:丸山仁司

 

横山医院 理学療法士 小林 将之

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