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年を重ねるにつれて、「重たいものを持てなくなった」「階段や坂道が辛くなった」「足が細くなった」などの経験はありませんでしょうか。それは、筋肉量の減少や筋力の低下が原因かもしれません。今回は、加齢に伴った筋力の低下やその対策についてお伝えします。
筋骨格系や内臓系・精神面などの機能は、生まれた時には未成熟であり、発育や発達により成熟して向上します。筋肉は、生まれた時には大人と同じ筋線維数があり、成長と共に筋線維が太くなり筋力が増強していきます。個人差はありますが、筋肉量は全般的に20代後半から30歳がピークとなり、その後30代から緩やかに低下し、50代以降で急速に減少します。60代以降では筋肉量が約60%低下すると言われており、意識的にトレーニングを行わないと筋力が落ちやすくなり、特に下半身でその傾向が強くみられます。
筋肉量の低下は以下のような問題を引き起こし、健康寿命の低下や生活の質の低下に関わります。
・運動機能の低下(筋力、バランス、俊敏性)
⇒ロコモティブシンドローム、転倒・骨折・寝たきりのリスクが高まる
・サルコペニア(加齢性筋肉量減少症)
⇒フレイル(虚弱)や要介護状態へとつながる
・基礎代謝及び内臓機能の低下
・免疫力の低下
・精神面及び認知機能への影響
このような問題を防ぐ為にも、日頃から運動や筋力トレーニングをすることがとても重要となります。
高齢者でも筋力トレーニングを継続すると筋肉は増強すると言われておりますが、以下のポイントにも注意が必要です。
・週2~3回トレーニングを実施する
・たんぱく質、ビタミンンDやEを摂取する
・睡眠、休養を十分に取る
トレーニングの方法も、ジムでダンベルなどの重りやマシンを使った運動はもちろん効果的ですが、初心者の方では自体重でのトレーニングから開始することをお勧めします。また、「スロートレーニング」というゆっくりとした動作で行うトレーニングも提唱されており、関節などへの負担が少なく安全に行える運動もあります。
運動前には準備体操を行い、運動後にはストレッチなどを行うようにしてください。また、痛みを伴う運動は行わないようにしましょう。運動方法が分からない場合は自己流で行うのではなく、パーソナルトレーナーなどの専門家に相談する事をお勧めします。
どうしても運動は後に回されやすく、不調を感じてから始めることが多いです。「貯筋」という言葉もあり、日頃からコツコツと継続することが大切です。少しずつ運動を始めてみましょう。
横山医院 理学療法士 塩谷直久