医院ブログ
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【概要】
単純性股関節炎とは、子どもの股関節痛で最も多くみられる疾患です。3~10歳の学童期に発症することが多く、好発年齢は4~7歳で、女の子よりも男の子に多くみられます。多くの場合は1~2週間で症状の改善がみられますが、まれにペルテス病という大腿骨の先端が壊死してしまう疾患に移行してしまうことがあるので、痛みが長引く場合には精密検査が必要な場合もあります。
【原因】
はっきりとした原因は明らかになっていませんが、スポーツによる過負荷や外傷、急な成長などによる影響が考えられてます。
【症状】
股関節・大腿部・膝関節などに痛みが生じ、痛みによる股関節の可動域制限や筋力低下も生じることがあります。また、歩行においては痛みによる跛行がみられ、痛みが強い場合には体重をかけて歩くのも難しくなることがあります。ほとんどのケースで片脚に症状がみられます。
【診断】
血液検査では異常がなく、レントゲン画像においても骨の形態変化はみられません。レントゲン画像で問題がなければ、超音波検査にて関節内に水腫があるかどうかを確認します。また、痛みが長引く場合には、ペルテス病や化膿性股関節炎との鑑別のためにMRI検査を行うこともあります。
【治療】
安静を基本とした保存療法を行い、スポーツなどの運動は避けるように指導を行います。また、日常生活においても立ったり歩いたりなど、股関節に荷重負荷のかかるようなことはなるべく避けるようにしたほうが良いでしょう。どうしても立ったり歩いたりしないといけないことはあるでしょうが、なるべくその時間を少なくするように心がけましょう。
また、痛みが強い場合には鎮痛剤や湿布を処方することもあります。数日から2~3週間で症状の改善がみられることがほとんどですが、長引く場合には他の疾患を疑う必要があります。ただ、多くの場合、予後は良好で自然治癒することがほとんどです。
【リハビリテーション】
痛みに対しては、低周波治療器や超音波治療器などの物理療法を用いることがあります。また、痛みによる運動機能の低下に対しては、ストレッチングや筋力トレーニング、セルフエクササイズの指導などを行うこともあります。
特にスポーツをされているお子様では、一時的な筋力低下や可動域制限がその後のパフォーマンス低下を引き起こすこともあるので、痛みが引いた後でも何か動きがおかしいなどと感じることがあれば、まずは医師に相談してみた方が良いかもしれません。