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胸腰椎圧迫骨折とは、骨粗しょう症を基盤として、軽くしりもちをつくなどの衝撃だけで背骨の中の胸腰椎と呼ばれる部分が潰れるように骨折してしまうものです。特に胸腰椎移行部の第12胸椎と第1腰椎で骨折が生じやすいとされています。
骨密度の低下や骨量の減少、骨構造の破綻などがもともと存在していて、その上で転倒や勢いよく座ってしまうなどの衝撃が加わることで椎体が急な圧に耐えられず、潰されてしまうことで生じます。
動作時に生じる背部痛や脊柱の後弯変形が主な症状となります。数カ月以上持続するような背部痛では、骨折部の癒合がうまくいっていない可能性もあります。また、骨折に伴う強い後弯変形では呼吸器系や消化器系及び精神的な障害まで引き起こす可能性があり、日常生活のレベルを大きく下げてしまう可能性があります。
レントゲン検査で椎体が潰れてしまっている状態が確認できます。ただ、レントゲンだけでははっきりしない場合、MRIによる画像診断を行うことがあります。
胸腰椎圧迫骨折の治療には、保存的治療と手術的治療があります。保存的治療でまず大切なことは、コルセットにより外固定を行い椎体の骨折の進行を防ぐことです。また、痛みに対してはNSAIDs(ロキソニン・セレコックスなど)と呼ばれる鎮痛薬や筋弛緩薬などが一般的には処方されます。コルセットに関しては、骨癒合した後にも継続的に使用してしまうと活動性の低下や骨量の減少につながってくる可能性もあるため、必要以上の使用は控えるべきです。
手術的治療は、骨折部がさらに潰れて進行している場合や麻痺が存在する場合、なかなか改善しない長期的な背部痛などがある場合に手術的治療が選択されることがあります。
受傷から2週間までは痛みが強いことも多く、疼痛管理や廃用予防のベッドサイドでのリハビリテーションが主となります。2週間を過ぎて痛みが落ち着いてきたら徐々に下肢や体幹筋のトレーニングなどを行っていきます。胸腰椎圧迫骨折では、体幹屈曲位(体が曲がった状態)で転倒してしまうと受傷のリスクが高くなります。そのため、予防のためには下肢や体幹の筋力強化がとても重要になってきます。
特に脊柱起立筋と呼ばれる背中の筋肉は背筋を真っすぐに保つためにとても大切な働きをしています。この筋肉が弱くなってしまうと、棘上靭帯や関節包といった組織で姿勢を保つようになり、姿勢も丸くなっていってしまいます。また、下肢の筋力に不安があるとバランスを崩して転倒しやすくなるなどのリスクが高くなります。そのため、リハビリテーションでは筋力強化を中心とした姿勢の改善や転倒の予防に努めていきます。