医院ブログ
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鵞足炎は、スポーツを行う人に多い膝の慢性的な炎症症状です。脛骨(すねの骨)の内側には縫工筋・薄筋・半腱様筋・半膜様筋の4つの筋が扇状についており、それが鵞鳥(がちょう)の足のように見える為「鵞足」と呼ばれています。膝を繰り返し曲げ伸ばしすることで鵞足に付着する筋・腱・滑液包などが炎症を起こし痛みが発生します。診断は症状から判断しますが、超音波を用いると炎症の状態などがよりわかります。同じような部位でも骨や靭帯・半月板損傷の疑いのある場合はレントゲンやMRI検査などを行うこともあります。
ジョギング・ジャンプ・着地の繰り返しやサッカーボールのキックなど、膝の曲げ伸ばしや膝の内側に負担がかかる動きを繰り返すことで発症します。また、膝が内側に入るニーインと呼ばれる姿勢になることでよりストレスが増強します。鵞足に付着する筋肉は骨盤から続く細長い筋肉群で、膝を曲げる機能だけでなく股関節を前に曲げる(縫工筋)後ろに伸ばす(半腱様筋・半膜様筋)内側に閉じる(薄筋)など、膝・股関節の両方の動きに関わる為非常に負担のかかり易い筋肉です。
痛みや違和感が出てすぐの場合は安静で治りますが、休んでも治らない場合は消炎鎮痛処置が必要が必要です。運動後は湿布やアイシングをして炎症の緩和に努めましょう。筋肉に疲労が溜まり硬くなると症状を発生しやすい為、運動前後のウォーミングアップ&クールダウン(ストレッチ)を行い、特にモモの前面・後面・内側の筋肉の柔軟性を維持することが大切です。また近年では炎症後に固まった組織に対し、超音波で部位を特定しながら注射器を挿入し生理食塩水を流してかたまりをはがす、筋膜リリース(ハイドロリリース)という方法も行われています。当院でも必要に応じて行っております。また、高周波治療器(ハイボルテージ)や超音波治療器などを用いて疼痛の緩和や組織の回復を促すことも行っています。
上記の処置を行って疼痛が消失しても、同じ動きで同じ運動量の運動をしていたら再び疼痛をぶり返します。当院ではセラピストによる個別指導によりストレッチや動き方の指導を行っております。また、足部の問題で膝に過度な負担がかかっていると判断される方には、靴の選び方や矯正用インソール(靴の中敷き)の処方なども行っています。末永くスポーツを続けられるように、お困りのことがありましたら我慢せずにご相談下さい。