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外反母趾は、足の親指が人差し指の方へ「くの字」に曲がり、付け根の関節が出っ張った状態になる足趾の変形です。元々の関節の形状・長さ・柔らかさに加え、「親指に負荷のかかる状態」の繰り返しにより変形が悪化してゆきます。重症例では母趾が第2趾の下に入り込み、2・3趾も亜脱臼を起こすことがあります。成人~高齢の女性に多い疾患ですが、男性や子供でも発症します。
「くの字」になった親指の付け根の関節に負荷がかかり関節痛を生じる他、形成されたバニオン(滑液包の腫脹)が靴にあたったりすることで疼痛を感じ、歩行困難となります。また、開張足・内反小趾(小趾がくの字に曲がる)なども併発し、第2・3中足骨頭への過負荷により有痛性の胼胝(タコ)を形成し、さらに歩行が苦痛になります。足をかばった歩き方になる為、膝関節・股関節・腰などにもストレスがかかり痛みが出ることもある他、スポーツ選手では前方に重心がかけられずパフォーマンスの低下をきたすこともあり、見た目だけでなく機能障害を起こす可能性の高い疾患です。
元々の関節の形状・長さ・柔らかさは手術でしか対応出来ません。変形が重度で疼痛や歩行障害が著明な場合は手術適応となります。
手術以外の対処法は、第一に「母趾にかかる負荷を減らすこと」。足が前に滑らず、足先が圧迫されないような靴選びが重要です。ハイヒールでの歩行は、「体重を前に移動し、且つつま先を横から押し付ける」という外反母趾を助長する典型例と言えます。それでもハイヒールを履きたい・履かなければならない女性は多いと思いますので、自分に合ったハイヒール選びと前に滑らないようにインソールの使用、日頃からの足のケアを行いましょう。
外反母趾の方の靴選びはとても苦労します。大切な点は①踵がしっかり安定している②足の甲が安定している(紐やマジックなど)③つま先部分がラウンド型になっている(先細りはダメ)です。それでも自分の足にあった靴選びは大変ですので、インソールを入れて安定させる事も検討すると良いでしょう。また、整形外科では義肢装具士さんによるオーダーメイド靴の作成も出来ます。靴選びでお困りの方は一度ご相談下さい。
足趾・足裏・ふくらはぎのマッサージを行い、内側に寄ってしまった足趾を開いてあげましょう。様々な種類の外反母趾サポーターが売られていますが、指を無理矢理広げすぎたり、長時間使用していると痛みが悪化することがあります。一度に改善しようとせず、ほどほどに毎日こつこつとケアを続けてください。