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座位時間が健康面に与える様々な影響とその対策方法について

当院では座位姿勢が原因の一つとして疑われる頸部、腰背部痛で悩んでいる方も少なくありません。しかし長時間の座位姿勢が身体に及ぼす影響は多岐にわたっており、運動器領域のみではありません。今回は座位が身体に及ぼす影響について解説していきたいと思います。

 

【日本人の平均座位時間】

皆さんは一日にどれ位座っている時間があるでしょうか。これはオーストラリアの研究機関の調査ですが、日本の成人は平均約7時間/日の座位時間があると言われており、その際の調査対象となった20か国中1位でした。この調査はコロナウィルスの世界的な流行以前のもので、テレワーク等が数年で浸透したためより長くなっている可能性もあります。

 

デスクワークをしている男性のイラスト

 

【長時間座位により生じる問題点】

長時間の座位時間は、健康リスクに大きな影響を与えることが分かってきています。

京都府立大学の研究グループによる日本人6万人以上を平均7.7年間追跡長調査したJ-MICC STUDY(日本多施設共同コホート研究)で、以下のことが明らかになりました。

 

①日中の座位時間が長いほど死亡リスクは上昇する

②高血圧、死亡異常症、2型糖尿病、これらの疾患の保有数が増えるほど死亡リスクは上昇する。

③普段の座位時間が長いと、座位時間が長いと死亡リスクを完全に下げることは難しい

 

他国でも座位時間に関する調査が行われており、ほぼこれと同じ内容の結果が出ています。前述のオーストラリアの調査においては1日11時間以上座っている人は、1日座っている時間が4時間未満の人に比べ死亡リスクは40%高まると言われています。

③は仕事で長時間座っているけど、しっかり運動しているから大丈夫と思っている方には、ちょっとショックな内容ではないでしょうか。

 

パソコンをしている男性を横からみたイラスト

 

明確な因果関係はわかっていませんが、原因として考えられるのは、長時間の座位により血流や代謝の低下が生じて肥満、糖尿病、心筋梗塞、脳血管障害、認知症等などへの影響がある可能性が指摘されています。WHOは世界で年間200万人の死因となりうるとの発表もしています。(2011)

 

また身体機能のみでなく、メンタルヘルスへの影響も報告されており、男性では座位時間が長いほどメンタルヘルス不良が増加してくる傾向がありました。特に12時間/日以上になると、6時間未満と比べメンタルヘルス不良の発生率が2.7倍以上になることがわかっています。女性は男性のように時間との相関が見られず、6-9時間/日の方がメンタルヘルスの良好さが保たれていたとのことで、男女差があるようです。

 

日本だけでなく世界的にも座位時間の長さが問題となっています。WHOは2020年に身体活動・座位行動ガイドラインを出しています。この中では年代、疾患、妊婦等の様々なカテゴリーで推奨される運動量が示されており、注目したいのは例外なく座位時間を減らすことが推奨されている点です。国内では、厚生労働省やスポーツ庁でも同様に座位時間を減らすことが勧められています。

 

【座位行動を変えるための対策】

・座位時間を減らす

最も効果的な対策は座位時間を短くすることに尽きます。明確に何時間以内という指針は残念ながら今のところありませんが、少なくとも自覚的に座っている時間が長く感じられる方は、少しずつ座位時間を減らし体調の変化を見てもよいかもしれません。1日のトータルの座位時間を短くするだけでなく、連続座位時間の短縮も重要です。座位保持時間30分が経過したら、一度立って少し歩いたり、屈伸したり、かかと上げをしたりすることで健康リスクを低下させる効果があると言われています。

 

体操をしている男性のイラスト

 

特に長時間座位となりやすいオフィスでは、近年座りすぎ対策が導入され始めており、具体的には昇降デスクの導入(何か写真があれば入れたい)、スタンディングミーティングの導入等がその例です。スタンディングミーティングは作業効率が上がることも報告されており、これは座って行う会議に比べ血流が良いことが関係しているのかもしれません。また、近年普及しているスマートウォッチでは座りすぎ警告機能がついているものもあり、この様な道具を活用することも良いでしょう。

・座位で行える体操をする

どうしても状況的に立ったりすることができない場合、座ったままできる体操を行うことが推奨されます。体操の方法はかかと上げやふくらはぎのマッサージを行う等で、これはエコノミークラス症候群の予防の対策と同じものです。これは最低限の対策として捉え、出来れば立っての活動時間を設けることが一番です。

 

横山医院 理学療法士  明楽 豪

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