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高齢になると、肌は若い頃とは大きく変化します。皮脂や汗の分泌量が減少し、角質層の水分保持力も低下するため、乾燥しやすく刺激に弱い状態になります。その結果、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすくなります。ここでは、高齢者によくある肌トラブルと適切なスキンケアについて解説します。
加齢に伴い、肌のバリア機能は徐々に低下します。皮脂の分泌量が減り、天然保湿因子も少なくなることで、水分を保持する力が弱くなります。また、表皮や真皮が薄くなり、外部からの刺激に敏感になります。そのため、若い頃と同じスキンケア方法では乾燥や炎症を招くことがあります。まずは「高齢者の肌は乾燥しやすく、傷つきやすい」という特徴を理解することが大切です。
高齢者に最も多いトラブルが「皮脂欠乏性乾燥症(老人性乾皮症)」です。皮脂の減少により肌がカサカサになり、白い粉をふいたような状態になります。特に、すね、腕、背中などに多く見られ、強いかゆみを伴うこともあります。かゆみによって掻き壊すと湿疹へ進行することがあるため、早めの対処が重要です。対策の基本は保湿です。入浴後5分以内を目安に、ワセリンやセラミド配合のクリームなど刺激の少ない保湿剤をやさしく塗布します。熱いお湯での長時間入浴は皮脂を奪うため避けましょう。
乾燥を背景に起こる代表的な皮膚炎が「老人性湿疹」です。赤みや小さなブツブツが現れ、強いかゆみを伴います。空気が乾燥する冬場に悪化しやすい傾向があります。基本は保湿ケアですが、炎症が強い場合は皮膚科で処方される外用薬が必要になります。自己判断で市販薬を長期間使用するのではなく、医師の指示に従うことが大切です。
寝たきりの状態が続くと、「褥瘡(床ずれ)」が発生することがあります。骨が突出している部分に圧力がかかり続けることで血流が悪化し、皮膚が壊死してしまう状態です。仙骨部やかかとにできやすいです。予防には、2〜3時間ごとの体位変換、体圧分散マットレスの使用、皮膚を清潔かつ適度に保湿することが重要です。赤みを見つけた段階で対応すれば、重症化を防ぐことができます。
加齢とともに増える良性腫瘍として「老人性いぼ(脂漏性角化症)」があります。茶色から黒色の盛り上がったできもので、顔や体に現れます。基本的には良性ですが、急に大きくなる、色がまだらになる、出血するなどの変化があれば皮膚科を受診しましょう。治療には液体窒素による凍結療法などが用いられます。
高齢になると血管がもろくなり、軽くぶつけただけで内出血が起こることがあります。特に手の甲や前腕によく見られます。これを紫斑といいます。完全に防ぐことは難しいですが、家具の角にクッションをつける、長袖を着用するなど、日常生活での工夫によって予防できます。
ゴシゴシこする洗い方は角質層を傷つけます。石けんはよく泡立て、手でやさしく洗いましょう。ナイロンタオルの使用は控えることが望ましいです。
化粧水だけでなく、乳液やクリームで油分を補うことが大切です。特に入浴後は必ず保湿を行いましょう。
高齢者でも紫外線対策は重要です。紫外線は皮膚老化や皮膚がんのリスクを高めます。帽子や日傘を使用し、低刺激の日焼け止めを活用しましょう。
肌の健康には生活習慣も大きく関係します。タンパク質やビタミンA・C・E、亜鉛などを含むバランスのよい食事を心がけましょう。また、十分な睡眠と適度な水分補給も重要です。高齢者は喉の渇きを感じにくいため、意識的に水分を摂ることが大切です。
高齢者の肌は乾燥しやすく、刺激に弱いという特徴があります。しかし、正しい知識を持ち、やさしいスキンケアを継続することで、多くのトラブルは予防・改善が可能です。気になる症状が続く場合や急激な変化がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。日々の丁寧なケアが、健やかな肌を守る大切な習慣となります。
横山医院 理学療法士 福田 周平