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転倒予防のための身体と脳機能に対する二重課題トレーニング

【転倒について】

近年、高齢者の増加に伴い転倒件数も増加しており、65歳以上の高齢者の4人に1人は年1回以上の転倒を経験していると言われています。心当たりがある方も多いのではないでしょうか。転倒の発生因子は、圧倒的に筋力低下によるものが多いですが、それに加えて最近では認知機能障害を併発すると、より転倒しやすいとの報告もあります。

転倒の原因の図

 

【転倒と脳機能の関係】

若い頃にはなんでもなかった場所で転びそうになったり、滑ったりすることがあるかと思います。それは、動くことと考えることが上手にリンクしなくなるからです。

 

脳の機能解剖学からひも解いてみると、前頭葉にある「前頭前野」という部位は人間らしい活動を行うためにとても大切で、大脳の約30%を占めています。ここでは「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人間にとって重要な働きを担っており、人間が人間らしくあるためにもっとも必要な存在と言えます。この前頭前野が認知機能の低下により衰えてくると、もの忘れが増え考えることができなくなったり、感情的になりやる気がなくなったりします。これらのことから、転倒予防には脳を鍛えることも重要だということがわかるかと思います。

 

脳領域のイラスト

 

ここで、非常に興味深い研究報告についてご紹介します。歩行中に「What’s your age?」つまり「何歳ですか?」という質問を行ったところ、立ち止まった高齢者は58名中12名いたという研究です。この研究では、転倒しやすい傾向にある高齢者では歩行能力低下によって歩行に向けられる注意量の割合が増えるため、歩行以外の事に注意を向けられるだけの余裕が減少または消失してしまうのではないかと考えられています。

 

What’s your age?文献:Lundin-Olsson L,Gustafson Y. “Stops Walking When Talking”as a predictor of falls in elderly people .Lancet.1997;349:617

 

また、他の研究では「テレビのリモコンを探そうとしていた時」「電気のスイッチを消そうとした時」「電気コードを跨ごうとした時」「洗濯物を抱えて段差を跨ごうとした時」など、日常生活において複数のことを同時に行う時や何かに注意を向けた時に転倒しやすいというデータも散見されています。

 

【転倒予防と二重課題トレーニング】

先ほどの研究では、歩きながら年齢を答える課題を行っていました。何かをしながら何かをするといった2つのことを同時に行う課題のことを二重課題と言います。最近、転倒予防に注目されているのが「運動」と「思考」の2つの課題を組み合わせて脳とカラダを同時に刺激する「二重課題トレーニング」です。たとえば、歩きながら行う100から7の引き算や、足踏みをしながら野菜や果物の名前を答える課題などがあります。

 

では、実際の二重課題トレーニングを紹介させていただきます。

 

<初級編>

1.「運動」+「言葉の想起」:

足踏みをしながら野菜の名前、頭に「お」のつく言葉、都道府県名など声に出して言う

 

2.「運動」+「計算」

足踏みをしながら「100」から「7」を引く引き算、30+15 60-10 2×5 14÷2 6+13 0×100などを答える

 

3.「運動」+「ストループ課題」

 

足踏みをしながら、左から右に色を読む課題

 

4.「運動」+「じゃんけん」

足踏みしながら、1人でじゃんけんをする課題。両手でじゃんけんをして勝った方の手が次は負けるように変えていく。

 

<上級編>

運動の難易度UP

1.「運動」+「言葉の想起」

立って「かかと上げ」をしながら「野菜」を10個答える

 

2.「運動」+「言葉の想起」

立って「かかと上げ」をしながら「スポーツ」を10個答える

 

3.「運動」+「言葉の想起」

立って右足と左足を前と後ろに繋げる。この状態でバランスを取りながら両手を頭の上で合わせて「さ」のつく言葉を10個答える

 

4.「運動」+「言葉の想起」

「スクワット」をしながら「国」を10個答える

 

5.「運動」+「計算」

「歩きながら」ながら「100」から「3」を引き続ける

 

【おわりに】

無理せずご自分の体調に合わせたトレーニングを行い、転倒予防のための丈夫な身体づくりをしていただきたいと思いますので、ぜひ挑戦してみて下さい。

 

横山医院 理学療法士  福田周平

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